<西武6-1楽天>◇18日◇西武ドーム
甲子園の季節には、やはり輝く。西武菊池雄星投手(20)が楽天相手に9回6安打1失点でプロ初完投勝利となる3勝目を挙げた。9回1死から山崎にソロを浴びて初完封こそ逃したが、最速146キロの直球に変化球を交えて投げきった。花巻東時代は相思相愛だった楽天相手に成長した姿を披露し「投げる試合は全部勝つつもりでいきます」と不敗宣言。1度、出場選手登録を抹消されるが、31日に岩手・盛岡で行われる楽天戦での先発も決まった。
3勝目の味はマウンドでかみしめた。最後は140キロ直球。中堅栗山の捕球を見届け、菊池が小さくグラブをたたいた。高校時代の派手なガッツポーズは封印しながら、確かな充実感に身を委ねていた。「こんなに早くできるとは思わなかったです。中継ぎの方々に『今日は完投します』と言っていたので、できて良かったです」とはにかんだ。
調子がよくなかった中でも初完封の予感はたっぷりだった。ストライク先行で、跳ねるようなマウンドさばき。変化球を散らしての1奪三振に本人は不満顔だったが、結果的にテンポの良さにつながっての112球。9回にスライダーが抜けて楽天山崎に通算400号を献上したが、お立ち台では「山崎さんの400号に貢献できたので良かったです」と笑った。さらに自己採点を求められ「じゃあ、99点で」と意図的に?
渡辺監督の背番号で切り返すゆとりがあった。
戦ったクリムゾンレッドのユニホームには特別な思いがある。中学生だった05年に球団創設。毎年盛岡で試合が開催されるようになり、06年ドラフトでは田中が入団した。「マウンドでの仁王立ちというか、あの振る舞い。今でも一番憧れるピッチャーです」。高校時代の野球ノートには表紙の裏に「引き寄せろ
楽天」と書いたこともある。楽天スカウトも、金の卵として中学時代から注目。まさに相思相愛だった。
それがドラフト直前、西武を強烈に意識することになる。メジャー挑戦も視野に日米20球団と面談した際、最初の相手が西武。その席で鈴木編成部長から「ウチに来てくれとは言わない。でも、日本のために残ってくれ」と言われ、心を揺さぶられたという。感じた運命に導かれるように、青いユニホームで一時は入団を夢見た楽天と相対した。
楽天のファンでもいいから、東北の人たちに成長した姿を見せたかった。「楽天戦でできて、意味のある完投だと思います」と感慨深げだった。東日本大震災が起こった3月11日。あの日の前も後も、心は常に東北とともにある。練習時、右手首に巻いた白いラバーブレスレット。日の丸をあしらった腕輪は、売上金によって復興を支援するチャリティーグッズだった。
今後は1度登録抹消となるが、1軍に同行する。見据えるのは31日、地元盛岡での楽天戦。渡辺監督は菊池の凱旋(がいせん)登板の可能性を聞かれ「それしかないでしょう」とほほ笑んだ。積み重ねた3連勝という実績と、芽生え始めた少しの自信。胸を張って、故郷の土を踏む。【亀山泰宏】



