<ヤクルト2-3広島>◇30日◇神宮

 打てば勝つ!

 広島の主砲栗原健太内野手(29)が12号ソロを放つなどの活躍で、首位ヤクルト戦の勝利に貢献した。1点を追う4回、ヤクルト石川から12号同点ソロを放ち、10回には決勝点につながる二塁打。栗原が1発を放てば、チームは9勝1敗の高勝率。これで8月は、9本塁打、打点24の大暴れで、06年7月以来、自身2度目の月間MVP獲得へも名乗りをあげた。

 手応えは十分だった。栗原は、左翼席に飛び込む打球の行方に目をこらした。1点を追う4回、ヤクルト石川の投じたカットボールが甘く入ったところを逃さなかった。「完璧だったね」と振り返る1発は、通算150本塁打にあと「2」と迫る納得の一撃だった。

 延長10回には2死から粘り、左中間二塁打で出塁。その代走中東が、ヤクルトの守護神・林の暴投で二塁から激走して決勝のホームを踏んだ。主砲の好調なバットが、林に今季初黒星をつけた。栗原が本塁打を打った試合は今季9勝1敗。主砲が打てば勝つ。4番として広島打線をけん引している。

 栗原

 10回はなんとか塁に出ることを考えていた。(本塁打は)思い切って行きました。

 首位ヤクルトに延長戦で粘り勝ち、連敗を2で止めた。ゲーム差も首位と4・5に詰めた。借金を「2」に減らして8月の勝ち越しも決めた。

 真夏の栗原は絶好調だ。前半戦2本塁打に終わったのがウソのように打ちまくっている。これで、8月は打率2割8分4厘、9本塁打、24打点。06年7月に続く、2度目の月間MVPの最有力候補に躍り出た。

 06年は、レギュラー定着を目指して奮闘し、月間7本塁打するなどで初めて月間MVPを獲得した。だが、その後に腰を痛めて手術し戦線離脱。規定打席に到達できなかった悔しいシーズンでもあった。

 あれから5年、カープの顔になった。チームの勝利のため、打率よりも本塁打よりも、打点にこだわってきた。リーグトップの65打点をあげそれを実践する。

 栗原

 (月間MVPは)分からないですけど、意識せずにやります。(150本塁打も)同じですね。(打てば勝つのは)みんなが流れに乗って行ってくれるから。これからもそういう1本を打ちたい。

 激しさを増す上位争いで、頼りになる男のバットが今日もうなる。