<中日3-6阪神>◇30日◇ナゴヤドーム
鳥で始まり、鳥で締めた。阪神鳥谷敬内野手(30)が初回に先制タイムリー。ナゴヤドームで26イニングぶりの得点をたたき出したと思えば、もつれた終盤は守備で大貢献だ。3点差に追い上げられた9回、背中に目がついているようなウルトラ背走キャッチを連発し、勝利をもぎ取った。こんな選手会長がいれば、優勝も近づく。
美技!
美技!!
鳥谷が2度も、土壇場のピンチを救った。3点リードの9回。2死満塁で打席には1発のあるブランコ。長打を警戒する外野陣は、フェンス際に守備位置を取っていた。ボール1からの2球目だ。抜けたフォークをミスショットしたが、高く上がった打球は左翼方向へ。その間にランナーは、ベースを駆け回っていた。打った瞬間に沸き上がった阪神ファンの歓声は、悲鳴に変わっていた。落ちたら同点…。よぎる悪夢を、断ち切ったのは鳥谷。背走しながら勝負の瀬戸際を楽しむかのように、鮮やかにキャッチした。
「捕れる当たりは捕らないと。外野もフェンスについていたので、ある程度は追わないといけないと思っていた」
当然のように振り返るが、決して難易度の低いプレーではなかった。
直前にも「ウルトラC」を決めていた。1死一、二塁で大島の打球は力なく遊撃後方へ。打った瞬間、予想する落下地点に向け全力疾走。落ち際に、すっとグラブを差し出しピンチ拡大を食い止めた。
鬼門に風穴をあけたのも鳥谷だった。ナゴヤドームでは前回対戦した9日からの3連戦で1点しか取れなかった。26イニングぶりの得点を初回にもぎとった。
「楽な場面を作ってもらったので」
1死三塁の状況に、プレッシャー無く打席へ向かう。ネルソンの初球スライダーを思いきり引っ張った。試合開始3分で先制、勢いをもたらした。
若手が台頭してきたチームの中で、リーダーとして頼れる存在となっている。14日のヤクルト戦(神宮)で、併殺を狙った上本が二塁への送球を暴投しピンチを広げた。失点にはつながらなかったが、ベンチで落ち込む上本に笑顔で話しかけた。身ぶり手ぶりを交え、丁寧に指導。年齢的にも中堅クラスとなった今、ベテランと若手の橋渡し役になっている。
「明日も試合があるので、がんばります」
ここ一番で強さを見せる勝負師が、チームをけん引する。【鎌田真一郎】



