<広島6-7ヤクルト>◇14日◇マツダスタジアム

 二塁を回ると、40歳のベテランが珍しく右腕を高々と突き上げた。ヤクルト宮本慎也内野手(40)のガッツポーズに三塁側ベンチが大興奮で応える。小川監督、コーチ陣と続くハイタッチの最後は、畠山と歓喜の胸タッチ。「これは、まぐれです!

 自分自身が一番びっくりしました!」。17年目のベテランが、我を忘れるぐらいに喜んだ。

 2点を追う8回2死一塁。敗色濃厚の中、20歳年下の広島今村が不用意に投じた外角への142キロ直球を見逃さなかった。打った瞬間に分かる完璧な当たりは、マツダスタジアム左翼スタンド中段にある看板を直撃。2号2ランに、勝利を信じていた広島ファンが、一瞬で静まり返った。

 1点を追う2回は、先頭打者として一塁線にセーフティーバントを決めた。両足のふくらはぎに爆弾を抱える中、一塁まで激走。無死二、三塁としてから、相川の遊ゴロで同点のホームを踏んだ。「勝てば大きい勝ち。負ければ痛い負けなので、勝てて良かった」とかみしめた。ただ1人の優勝経験者が、プレーでチームを引っ張った。

 本拠地神宮では、正午すぎから室内練習場に一番乗りして特打に励む。そんなベテランの1発で勢いづいたチームは、同点に追い付いた直後の2死満塁から、青木が右前に勝ち越しの2点適時打を放った。小川監督は「宮本の同点ホームランが本当に大きかった。初球から思い切っていってくれた結果。ベテランの味かなと思う」とたたえた。逆転でつかんだ8連勝で、貯金を今季最多の16に伸ばした。【前田祐輔】