<広島3-6阪神>◇18日◇マツダスタジアム

 やっぱり虎の男前だ。阪神藤井彰人捕手(35)が、走攻守で連敗ストップに一役買った。愛嬌(あいきょう)いっぱいの笑顔が、久しぶりに輝いた。

 1点差に迫られた直後の7回先頭打席だ。横山の直球を完璧にとらえ、中越え打を放った。中堅丸が処理をもたつくと二塁も蹴った。ファンも拍手喝采の全力疾走。楽天時代の05年6月25日西武戦(長野)以来6年ぶりの三塁打で好機をつくり、勝利を決定づける2点を呼んだ。

 「だいぶ迷惑をかけていたので」。8月30日の中日戦から今月11日のヤクルト戦まで、10試合連続無安打。城島が離脱した6月初旬からマスクをかぶり続ける疲労もあってか、リードもキレを欠いていた。前日は久保が初回に4失点すると、バッテリーごと交代の屈辱。5回の二塁打も含め、35歳が打って走ったマルチ長打は、意地の結晶だった。

 守りでも2度の好ブロックで得点を阻止した。1点リードの6回2死二塁で藤原が石井に中前打を浴び、二走広瀬の本塁突入はセーフのタイミング。ところが左足を盾にがっちり突進を受け止め、アウトにした。

 「足が先かなと思ったけど、ちょうど(足が)ミットの上にきたので」と振り返った。同点なら消えていたメッセンジャーの勝ち星も死守。ノッた自身の激走三塁打はこの直後に生まれた。

 8回無死満塁でも左犠飛と思われた石井の打球で、三走栗原を本塁好ブロック。守りで貴重な“2打点”を挙げた。

 「だいぶ打たれたけど3点ですんだ。やられたという感じですけどねえ」。苦笑いの中にもホッと一息。男前が元気になれば虎も再進撃できる。【松井清員】