<横浜1-4中日>◇20日◇横浜

 落合竜が横浜を撃破し、貯金を今季最多の7に伸ばした。主役は驚異の40歳谷繁元信捕手だ。4回、勝負を決める5号2ランを放った。守りの要として信頼される司令塔は5番打者としてもここ3試合で3本塁打。首位ヤクルトとは4・5差。明日22日からの本拠地直接対決4連戦に最高のムードで臨む。

 打った本人も驚く弾道だった。4回無死一塁、内角直球に谷繁の腰がクルッと回転した。快音を残して、白球は左翼線上へ伸びた。「打った瞬間、切れると思った」。だが、打球は逆にグラウンド内へ戻るような軌道を描いてスタンドへ飛び込んだ。3-0と突き放す5号2ランはハイレベルな一打。マウンドでうなだれていたのは、江の川高(現・石見智翠館)の後輩・小林寛だった。

 「いい球投げるな。オレの後輩だからね。最初の打席もいい球でやられたから。ホームランは切れると思ったけどね。なぜ?

 自分でもわからないよ。風じゃないの?

 ワハハッ!」

 谷繁は豪快に笑った。試合前からプロ初先発の後輩との対決に燃えていた。第1打席、142キロ直球に空振り三振した。非凡さを見せた後輩にほくそ笑みながらも、先輩としてのプライドもうずいた。次打席、本塁打にしたのは同じ直球だった。両者には22年間のキャリアの差。プロの世界で修羅場をくぐってきた先輩の貫禄勝ちだった。

 ここ3試合で3本塁打を含む、13打数5安打7打点と絶好調。不振で2軍落ちした和田に代わって5番打者の役割を果たしている。落合監督も4回に犠打を考えなかったかという質問に対して、こう答えた。

 「なんで一番振れてる打者にバントさせるの?

 なんのために5番に入れてるかわからないだろ。あいつは5番なら5番の打撃、8番なら8番の打撃しかしない。経験があるんだ」

 敗れた首位ヤクルトとはこれで4・5差。あす22日からの本拠地4連戦次第では一気に射程圏だ。8月に左膝故障から復帰以降、谷繁がスタメンマスクをかぶった試合は16勝5敗1分け、勝率7割超-。オレ竜をよみがえらせた男は「自分たちにできることをやるしかない。できることっていうのは勝つことだよ」。“勝負の鬼”が、ヤクルトに待ったをかける。【鈴木忠平】