<楽天0-1西武>◇29日◇Kスタ宮城

 チームとともに、4番も悪い流れを1日で断ち切った。西武中村剛也内野手(28)が楽天戦で決勝の43号ソロを放った。前日の試合でチームの連勝が10でストップ。好機で2併殺を喫するなど責任を感じていた主砲が、6回まで点が取れないモヤモヤを一撃で振り払った。敗れた3位オリックスとは3ゲーム差。9月の月間MVPの有力候補の絶好調おかわりくんが、逆転CS進出のけん引役となる。

 自分への怒りをエネルギーにして、中村はボールをしばきあげた。0-0の7回、楽天戸村から完璧に打った43号決勝アーチ。大仕事にも「それまでのバッティングがふがいなかったので、気合を入れていった」と喜びは控えめだった。

 ふがいない打撃。チームの連勝が止まった前日28日の試合が頭をよぎっていた。1、7回といずれも1死一、二塁の好機で2併殺。特に、小山が投じた初球シンカーを仕留め損なった7回の打席を珍しく試合前に「あれはメチャクチャ甘かった。絶好球すぎて力んだとかじゃないけど…」と猛省していた。「良かったことはすぐに忘れる」が持論だが、悪いことは借りを返すまで忘れない。「昨日のことは済んだことだからしょうがないけど、悔しい気持ちをもっていった」と振り返った。

 負ければ9月初の連敗となり、逆転CS進出へ大型連勝でつかみかけた流れを手放しかねなかった。さらに、6回までわずか2安打という展開。その一戦を主砲らしい1発でものにした。渡辺監督も「サンペイ(中村)のひと振りが雰囲気を一変させた。これからこういうしびれるゲームが増えてくる。日々のゲームの中で向上していってくれれば」とうなずいた。

 どこまでも頼もしい。月間10本塁打は統一球導入後初の快挙。さらに打率3割5分6厘、27打点と月間MVPの有力候補だ。「プロ野球が一番盛り上がる時期。まだ4位だけど、もっと上を目指して頑張らないといけない」。逆襲の9月を引っ張った男は、まだまだ暴れるつもりだ。【亀山泰宏】