<中日5-3広島>◇6日◇ナゴヤドーム

 ついに、ひっくり返した。中日が5連勝で5月30日以来、129日ぶりの首位に立った。荒木雅博内野手(34)が、先制タイムリーを含む2安打3打点で打線をけん引。落合博満監督(57)の退任が発表されてから猛チャージが止まらず、10勝2敗1分けとなった。指揮官の花道を飾るため、そして、球団史上初の連覇に向け、首位固めに入る。

 落合竜がついに頂点に立った。原動力となったのは落合監督が就任当初から鍛え上げてきた荒木だ。2回2死満塁から中前打で走者2人を迎え入れ、あっさり2点を先制。6回には2死二塁から中前適時打でダメ押しとなる5点目をたたき出した。5月8日巨人戦以来となる、今季2度目の1試合3打点。それでも荒木は表情を崩さなかった。

 「中継ぎに負担をかけないようになるべくたくさん点を取ろうと思った。1位だからといって野球が変わるわけじゃない。必死に1試合、1試合を戦うだけですから」

 見据えるのは頂点だけ。最大10ゲーム差をつけられていた夏場、落合監督は、こう話していた。「今年、ケガ人もなく、すべてうまくいっているのはヤクルトだけだろう。でも、長いシーズン、ずっとうまくいくなんてことはない。逆にずっとダメってこともないんだ」。左膝故障で離脱していた正捕手・谷繁には「200%にならないと(1軍に)上げないからな」と復帰を急がせなかった。不調の和田を4番からスタメンから外し、休養を与えた。開幕が2週間遅れた特別なシーズン。勝負は終盤にやってくる。重なっていく黒星、波に乗れないチーム状態にじっと耐えながら、布石を打っていた。

 試合終了から数分後。インタビュー室の扉を開けて歩き出した落合監督はここ数試合、使い続けているフレーズを繰り返した。「何も言うことない。良い仕事してる!」。部屋に足を踏み入れて出るまでわずか2秒。131試合目にして首位奪取を成功させた特別な夜だったが、指揮官の言動が変わることはなかった。これからも変わることはない。淡々と、着実に、ゴールテープに向けて走り続けるだけだ。【桝井聡】