阪神が片岡篤史打撃コーチ(42)のヘッドコーチ兼務を検討していることが25日、分かった。和田新体制の発足に向け、コーチ人事の人選も本格的に着手。熱心な指導で定評のある片岡コーチが重要な「参謀役」に浮上した。吉竹春樹2軍監督(50)もヘッドコーチの有力候補に挙がっており、慎重に調整を進める。

 和田新体制の発足に向け、コーチ人事の選考も活発化してきた。指揮官の次に重要なポストであるヘッドコーチの選定が急務。そこで候補に浮上したのが、片岡打撃コーチの兼務だ。南信男球団社長(56)は組閣について問われ、慎重に言葉を選んだ。「まだ白紙です。これからのことなので。ドラフトが終わってから本格的に動きだす」。監督就任会見が予定される28日以降に、協議していく方針を強調した。

 片岡コーチは昨年から指導者として復帰。和田新監督とタッグを組んで、打撃部門の指導に取り組んだ。表現力が豊かで、打撃理論を分かりやすく伝えるノウハウを持っている。選手との接し方も時には厳しく、時にはユーモアを交え、硬軟自在だ。兄貴的な存在で、チーム内の人望もある。指導者としてのキャリアは浅いが、真弓監督の辞任に伴い、阪神の指導者も一気に若返りが進む見通し。参謀役という難しい役割を託す可能性は十分にある。

 もう1人の有力候補が吉竹2軍監督だ。今季から育成部門の現場トップとなり、若手の指導に情熱を注いだ。岡田監督時代には、チーフ野手コーチを務め、参謀としての経験がある。来年以降も世代交代がチームの主要な課題であるため、2軍を熟知した同コーチの存在は新体制で大きな力となるはずだ。新監督の決定が遅れた場合、吉竹2軍監督に秋季キャンプの指揮を任せる予定だったことから、球団の信頼も厚い。

 吉竹2軍監督がヘッドコーチに決まった際には、2軍監督のポストに矢野燿大氏(42=野球評論家)の就任を検討している。昨年に現役を引退したばかりだが、将来の監督候補として、帝王学を学ばせる方針だ。

 コーチ人事に関しては、和田新監督の意向が反映されることは確実。新監督と相談するのか-と問われ、南球団社長は「もちろん、そうです。28日以降に本格的に。早ければ早いほうがいいが、何とも言えない」と話した。11月2日から始まる秋季キャンプでスタッフが出そろうのが理想。ドラフト会議で新戦力を獲得した後、組閣は詰めの作業を迎える。

 ◆片岡篤史(かたおか・あつし)1969年(昭44)6月27日、京都府生まれ。PL学園-同大。91年ドラフト2位で日本ハム入団。1年目からレギュラーとして活躍。01年オフにFAで阪神入り。勝負強い打撃で03、05年の優勝に貢献した。06年に現役引退。98年パ・リーグ最高出塁率(4割3分5厘)。96、98年ベストナイン。96、97、98年ゴールデングラブ賞。通算1569試合、1425安打、717打点、164本塁打、打率2割7分。10年から1軍打撃コーチに就任した。