<セCSファイナルステージ:中日2-1ヤクルト>◇第1戦◇2日◇ナゴヤドーム

 中日森野将彦内野手(33)がリベンジに燃えるヤクルトを返り討ちにした。初回に先制を放って「中12日のブランク」を吹き飛ばすと、3回にも貴重な2点目をたたき出し全打点を稼いだ。レギュラーシーズンでは不振だった主砲は力強く、CS、日本シリーズでの逆襲を宣言した。

 リーグ王者が唯一、抱いていた不安を森野のバットが吹き飛ばした。初回1死二塁、ヤクルト先発増渕の変化球を右中間へはじき返した。1ボールからのファーストストライクを見逃さなかった。二塁から井端がホームイン。普段の何倍もの価値がある先制点。結果的に、この1点が勝敗の行方を大きく左右した。

 「やっぱり、最初の打席ですね。積極的に行って、いい結果が出た。短期決戦ですから。バットを振れるかどうかです」

 公式戦は10月20日広島戦(マツダ)以来だった。チームにとっても、森野にとっても「中12日」で迎えた真剣勝負だった。だが、森野は第1打席、初球からすでに“臨戦態勢”だった。

 「初球から振ると決めていたわけではないです。ここだったら打ちたいなというイメージがあって、その通りに振れた」

 何が何でも-というわけではなかった。ただ、打つべきところに来れば、いつでも仕留められる。12日間の空白を埋め、糸がピンと張りつめたような緊張状態を維持できていた。相手は巨人との激闘から中1日で名古屋に乗り込んできたヤクルト。不安視されていた実戦感覚の差は、この一打で消し飛んだ。3回には貴重な追加点となる中前打、5回にも中前打で猛打賞の大暴れだった。

 「シーズンでは嫌でも数字が目に入ってきますからね。でも短期決戦では数字は関係ないですから」

 シーズンでは打率2割3分2厘と不振にあえいだ。統一球、セ・パ審判統合など打者にとって、めまぐるしく環境が変わる中で打率は2割前半をさまよった。意識しなくても、打席に立てばバックスクリーンに表示された数字が目に入る。その数字が自分で自分に「不振」だと思いこませた。ただ、この日からはすべての打者が「0」からのスタートとなった。数字の呪縛から解き放たれた森野は完全に吹っ切れた。

 「シーズン中は全然打てなかったんで、こういう試合で打てて良かった。しっかり働いて、声援を受けたい。3連勝してCSを突破したい」。選手会長は、お立ち台で力強くファンに誓った。貧打にあえいだ落合竜にとって、主砲の復活宣言は何よりも心強い。【鈴木忠平】