鳥谷やばい、全力で引き留めるべし!

 阪神OBの赤星憲広氏(35=野球評論家)が6日、今季フリーエージェント(FA)権を取得した鳥谷敬内野手(30)の流出に警鐘を鳴らした。国内他球団への移籍や、来季取得する海外FA権を行使する可能性にまで言及。複数年契約を提示しているとみられる球団に対し、OBの立場から徹底した残留要請を訴えた。

 残留か、流出か。鳥谷の動向に気をもむ阪神ファンが聞けばゾッとする言葉を赤星氏が口にした。

 「どうせ残るんじゃ…なんて甘く考えていると、かなり危険ですよ」

 赤星氏は大阪市中央区の松下IMPホールで映画「マネーボール」の試写会にゲスト出席した。衝撃発言は舞台あいさつ後の囲み取材で飛び出した。MLBアスレチックスのGMビリー・ビーンを描いた映画になぞらえ「GM的視点から、来季の阪神に必要なものは?」と問われると、よほど鳥谷流出に危機感を持っているのか、自ら話題を切り出した。

 「鳥谷だけは絶対に出したらダメ。鳥谷が出た瞬間に、阪神は終わりますよ」

 岡田、真弓両政権で6年間、ともに主力で過ごした“戦友”だけに思うところがあるのか、不安は尽きない。「僕は一緒にやっていたし、性格とかも知っているので…。来年には海外FA権もあるでしょ?」と、ここまで公にはなっていない鳥谷のメジャー志向までにおわせた。「この話はあまり本人としたことはないんです。ボソッと『どうなん?』と聞いたぐらいで」と“直接取材”をした上での感触であることも打ち明けた。

 阪神球団は4日に鳥谷と新井に対して残留交渉を行ったものの、明確な残留方向の回答を得られなかった。赤星氏が不安視するのは鳥谷だけではなく「新井もそうです。FA権を持っている選手に対しては、きっちりやらないと」と言う。「選手が球団に求めるのは、お金じゃない。『絶対に残ってほしい』という熱意、気持ちなんです」と語り、より手厚く、情熱的な残留交渉を球団に訴えた。

 阪神は今季4位に沈んだ。「もっと厳しくならんといかんでしょう。執念。それが今一番、阪神に欠けているもの。4位は厳しい現実ですから」。チームリーダー流出を食い止め、球団一丸で盛り返す。赤星“GM”の古巣へのゲキは止まらなかった。【加藤裕一】