DeNA中畑清監督(57)が、恩師の墓前でチーム再建の決意を新たにした。27日、元巨人監督の藤田元司氏(享年74)が眠る東京・世田谷の慈眼寺を訪れ、監督就任を報告。「藤田さんにも恩返ししたい」という思いを込めて、静かに手を合わせた。

 監督という夢のきっかけを与えてくれたのが、藤田氏だった。同氏が最初の巨人監督に就任した81年。中畑監督は、世間と同じく、「(前監督の)長嶋茂雄を追いやった男」と見ていた。「顔を合わせても口を利かない、っていうくらい距離を置いていたよ」。しかし、裏方のスタッフにも「ありがとね」と声をかける配慮を見せながら、チーム全体を束ねていく姿に、わだかまりは消えていった。「人となりにほれちまったんだよ。気配り、目配り、思いやりをまさに地でいく人だった」。間近で藤田氏を見続ける中で、組織のまとめ上げ方を学び、初めて「監督をやりたい」という思いが芽生えたという。

 現役を引退する際にもらった「監督として現場に戻って来いよ」とのメッセージ。あれから22年。ようやく、その言葉に応えることができる。

 もう藤田氏から直接アドバイスをもらうことはできない。それでも、教えは胸にしっかりと残っている。4年連続最下位に沈むチームにとって、組織作りは最重要課題と言ってもいい。「恥ずかしい戦いはできないな」。その表情はいつもと少し違う、静かな決意が満ちていた。【佐竹実】