ヤクルト宮本慎也内野手(41)が、引退覚悟でプロ18年目のシーズンに向かう。7日、愛媛・松山の坊っちゃんスタジアムで始動した。後継者候補の2年目、山田哲人内野手(19)らを熱血指導し、引き際を決断させるような若手の台頭を求めた。大学、社会人出身選手としては史上2人目の2000本安打まで残り25本。2年契約最終年の今季は、不退転の決意で優勝&大記録を追い掛ける。

 プロ18年目の新年が明けた。42歳となるシーズンが始まる。例年通り、愛媛・松山で始動した宮本は、引き際に対する胸の内を明かした。

 「僕が想像しているのは(2000本安打までの)25本を早く達成して、監督さんが気を使わない状況で、若い選手とポジション争いをしたい。できれば追い抜いてもらって、その中で優勝して辞められるのが、理想だよね」

 1年でも長くプレーしたいのが多くのプロ野球選手だが、宮本の考えはひと味違う。後継者候補の2年目山田を自主トレに呼び、付きっきりで指導。さらに昨季3番として急成長した川端慎吾内野手(24)の名前を挙げて「安心して辞められる状況になればいい」と、少しでも早い「その時」を待っている。

 2年契約の最終年。2000本安打を2年間で達成することを目標に、結んだ契約だ。30代後半から、毎年「ダメなら辞める」覚悟だったが、その思いは例年以上に強い。

 残り25本を早く打つための青写真は描く。例年試合出場は3月のオープン戦からだったが、2月20日前後の練習試合から出場する意向だ。「年を取ったから、早めに出て打席の感覚をつかみたい」。シーズン13、14試合目、4月14日からは松山で広島2連戦が控える。ご当地達成なら松山市長から球場に石碑を建てると約束されたが、1試合2本弱のペースに「無理でしょ」と笑った。焦らず、1本1本積み重ねる。「神宮がいい」と、本拠地での達成を思い描いた。

 自ら、引き際を判断するポイントは何か。「空気でしょうね。分かると思います」。首脳陣に気を使わせてまで、試合に出続ける気はない。裏を返せば、必要とされる以上は、現役を続ける可能性はある。後厄のシーズンは、年末の厄払いから始まった。12年、進退をかけて、チームの優勝を追う。【前田祐輔】