虎の4番は勇ましく!
阪神新井貴浩内野手(34)が12日、鹿児島県内の最福寺で9年連続となる護摩行(ごまぎょう)に臨んだ。「今までで一番キツかった」を振り返る約1時間半の行を終え、真っ赤な顔で充実感たっぷり。池口恵観法主(75)からは今年の言葉として「勇猛精進」を授かり、「4番でV奪回」へ勇敢に突っ走る。
火の粉が天井から舞い落ちる。背丈3メートルを超えようかという炎が、1メートル前から襲いかかる。最福寺の本殿。行開始から1時間が過ぎた頃、新井に異変が起きた。眉をつり上げ、閉じかけるまぶたを開けようと必死。息ができず、叫び続けたお経も途切れ途切れに。全身にしびれが走る。首が上下動し、今にも倒れそうだ。「何も考えられなかった」。限界と戦っていた。
新井
今までで一番熱かった。火の勢いが一番強くて。キツかった…。声を出さないともう、倒れそうで。負けない、負けないと思っていた。ちょっとでも「ダメだ」とスキを見せたらグラッと来る。ダメだと思った時にグッと1歩行く。そこのせめぎ合いだった。
9年連続となる護摩行。前々から池口法主から苦行を予告されてはいたが…。「『気』を(炎に)ガッと入れた。今年は懸けてもらわないといけないので」(池口法主)。1時間22分に渡り、護摩木2000本と格闘。その直前には、法主から今年の言葉も授けられていた。「勇猛精進」。勇気を持ち、心一筋に物事に打ち込む、という意味の四字熟語。法主が初めて人に贈った言葉だという。
池口法主
今まで以上に頑張る、ということ。人の3倍以上、人が10倍やったら30倍、40倍やる。そのためには自分がどこまで耐えられるか分からないと。死に物狂いで練習してほしい。命がけで自分に勝って、ファンに喜んでもらえるプレーをしてもらわないと。
昨季は93打点で打点王に輝いたとはいえ、チームは4位。決定機での勝負弱さを指摘され、4番降格も味わった。今季に懸ける思いは誰よりも強い。法主からは「今日のような姿勢を続けていけば、阪神は優勝できると思う。4番として引っ張っていける」と太鼓判を押された。この日から2泊3日の日程で鹿児島にとどまり、あと2回のさらなる苦行で心を鍛え抜く。
新井
これ(護摩行)をやらないと自分が逃げてしまうと感じる。1年は長いし、良い時だけじゃなく悪い時も多い。(行は)僕の心の支え。いろんな状況で支えになる。しっかり気持ちを強く持って、良いシーズンにしたい。自分にとってもファンにとっても、記憶に残る1年にしたい。
これだけの苦行に耐えたのだから…。やけどで真っ赤に腫れた顔には、確かな自信がみなぎっていた。【佐井陽介】
◆護摩行
護摩行はインド伝来で密教最高の修行法。燃え上がる炎の前で全身全霊を込めて不動真言を唱え、煩悩を焼き尽くす。最福寺は鹿児島市平川町にある真言宗の寺で起源は室町時代。
◆勇猛精進(ゆうもうしょうじん)
勇敢に、精力的に物事を行うこと。「勇猛」は、勇ましくて強いこと。「精進」は、懸命に努力すること。仏教では「猛」を「みょう」と読む場合もある。



