武田名人の将棋投法!

 ソフトバンクのドラフト1位武田翔太投手(18)が14日、得意の将棋を投球にいかすと力説した。福岡・西戸崎合宿所で新人合同自主トレに参加。盤面で王将を詰めるように、じわじわ打者を打ちとる考えだ。未来のエースは頭脳もフル回転させる。

 頭脳戦は得意だ。頭を使って打者を抑える。タカの未来を担う武田の一番の趣味は将棋だという。新人合同トレのメニューを難なくこなし、将棋と投球の共通点を力説した。

 「将棋とピッチングは似ている。両方とも勝つために逆算する。王手をかけるために、打ちとるために、どうするか。将棋で考えることが野球にもつながる」

 中学時代は無敵だったという。将棋部全員に完勝した。正式な大会に出場したことはないが、かなりの腕前を自負する。

 得意の戦法は、鉄壁の守りを固める「穴熊(あなぐま)」と、自在に攻める「棒銀」だ。投球も穴熊のように本塁打のリスクを回避し、打者の得意なコースには投げない。さらに「棒銀」さながら、大胆に内角を攻めた後に「七色の変化球」で打者を仕留める「詰め」が、理想の差し手だ。

 とにかく頭を使うことが好きだ。合同自主トレでは自分のペースを崩さない。体力を温存し、午後からの自由時間で必要なメニューを考えて行う。統一球に慣れるためのネットスロー。フィールディングを磨くためのノック。すべては将来、1軍で相手から王将(白星)を奪うため。必要なメニューもきっちり逆算して考えている。

 「焦らないように、自分のペースで野球をしたい。まずは体をつくることが大事。統一球に慣れて、自分の良さを引き出したい」

 一流棋士のように先の先を見据え、野球に打ち込む18歳。寮でも寝る前にはテレビゲームの将棋でリラックスすることが日課。野球界の名人となるため、頭脳をフル回転させながら、一手一手進める。【奈島宏樹】

 ◆プロ野球選手と将棋

 元ヤクルト古田の将棋好きは有名で3段の腕前。長嶋巨人終身名誉監督は名誉5段。オリックス岡田監督も3段で、現役時代はバース、川藤らと対戦していた。昨年までヤンキースでプレーした井川、ロッテ今岡らも将棋が趣味。ソフトバンクでは大石ヘッドコーチ、藤本2軍打撃コーチが愛好家として知られる。