プロ2年目の若武者が外野戦争に殴り込みをかける!

 阪神は22日、西宮市の鳴尾浜球場で合同コーチ会議を開き、2月1日から始まる春季キャンプ(沖縄・宜野座)の1軍メンバーを発表した。阪神中谷将大捕手(19)が長打力を評価され、初めて沖縄行きを決めた。和田豊監督(49)は「外野中心でやってもらう」と明言した。

 注目の外野争いに、新たな「スパイス」が投入された。この日行われた合同コーチ会議。沖縄・宜野座の1軍キャンプメンバーが発表され、その中にプロ2年目・中谷の名前があった。入団以来のポジションである捕手で記載されていたが、2月1日からは新天地が用意されていた。

 和田監督

 いろいろやり過ぎてもいけない。どうやって、あのバッティングを生かすか、というキャンプになる。外野中心になってくる。

 秋季キャンプでは、捕手に三塁、右翼と3つの守備位置を練習した。しかし春は違う。長所であるパワフルな打撃をいかに成長させるか。守備に気を取られすぎてもいけない。そこで和田監督は初めて外野中心で練習させることを明言した。

 将来の大砲候補育成がチームの大きな課題だ。中谷はその強化指定選手と言える。11月の秋季キャンプで指揮官の目にとまり、期待は日増しに大きくなった。雨天中止となったが、オリックスとの練習試合では4番で1軍デビューを予定していたほど。秋はMVP級の猛アピールで、沖縄切符をゲットした。

 中谷の外野手争いの本格参戦で、春季キャンプの目玉がひとつ増えた。順当に行けば、開幕スタメンの両翼は、金本&マートンで決定的。センターのレギュラー争いは、最有力候補の柴田が、故障により大きく出遅れた。即戦力ルーキーの伊藤隼や1軍経験豊かな俊介らが候補に挙がり、激戦区に発展しそうだ。そこにプロ2年目の若武者が殴り込みをかける。

 中谷

 バッティングをアピールしたい。どこを守るか言われていないが、いろんなポジションをできるように取り組んでいく。(試合に)出る機会は少ないと思うが、チャンスをモノにしたい。

 1軍メンバー入りを喜んだのも、ほんの一瞬。すぐに気を引き締めた。秋とは違い、次の舞台は金本や鳥谷ら一流のお手本がある。若手の台頭なくして、世代交代はあり得ない。19歳の挑戦に乞うご期待だ。【田口真一郎】

 ◆中谷将大(なかたに・まさひろ)1993年(平5)1月5日、福岡・小郡市生まれ。福岡工大城東では1年夏から外野手としてベンチ入り、同秋から4番。2年秋から捕手に復帰。高校通算20本塁打。10年ドラフト3位で阪神入団。昨年2軍戦で46打数12安打、0本塁打、4打点。184センチ、85キロ。右投げ右打ち。

 ◆阪神の中堅争い

 外野では右翼は2年連続で最多安打を記録したマートンが当確。左翼は今年で44歳になる金本が有力だが、中堅争いは混沌(こんとん)としてきた。柴田が左肩を故障。他の候補には1軍での実績がある浅井や俊介、即戦力ルーキー伊藤隼がいる。昨季中堅を守った平野も候補の1人で、大和も外野の練習を積んでいる。ここに成長著しい中谷も加われば、さらに競争は激しくなる。