阪神の育成枠ロバート・ザラテ投手(24)が秘密兵器「サンタナ・チェンジ」を引っ提げて戻ってきた。来日翌日の24日、さっそく鳴尾浜球場で自主トレ。支配下登録から1軍昇格という目標に向け、武器となるチェンジアップのお手本がなんと、サイ・ヤング賞投手、米大リーグ・メッツのヨハン・サンタナ投手(32)だと明かした。育成枠ながら1軍キャンプ入りも検討された大器に注目だ。

 南米ベネズエラから寒波襲来の日本へ。ザラテは鳴尾浜球場のあまりの寒さに首をすくめた。チームの仲間たち、スタッフと再会のあいさつを交わしながら、ランニングを行った。191センチの長身左腕が2年目のスタートを切った。

 「この時期にしっかりできるようにやってきた。やはり、投げて学ぶことがあるから」

 オフの間は母国ベネズエラのウインターリーグで8イニングを投げて、自責点1という成績だった。マイナーに位置するリーグながら米大リーグ・エンゼルスのアマリスタ外野手や、元阪神ベキオナチを封じたという。何より本人が胸を張るのは新兵器チェンジアップだった。

 「去年はあまり使わなかったんだけど、今年はチェンジアップをしっかり投げようと思っている。サンタナのチェンジアップをお手本に。普段からテレビで注目しているんだよ」

 これまでザラテの武器と言えば最速153キロのムービングボールとスライダー。だが、支配下選手登録を目指す今季はチェンジアップを武器にすると決意した。そのお手本はなんと、あのサイ・ヤング賞2度の大投手、サンタナ。決め球であるチェンジアップは通称「パラシュート・チェンジ」と呼ばれ、直球と同じ軌道からベース付近で真っ逆さまに落ちる。テレビ画面越しの“指導”とはいえ、メジャーの強打者もお手上げの必殺球をマスターすれば、大ブレークすること間違いなしだ。

 「2ケタの背番号が欲しい。支配下登録されて、1軍に上がりたい」

 今季の目標をはっきりと口にした。育成枠ながらキャンプ1軍スタートも検討された未完の大器。新兵器を引っ提げて挑む今シーズンは、期待に満ちている。【鈴木忠平】

 ◆チェンジアップ

 直球ほど球に回転を与えず投じる変化球。打者の手元で沈むなど球筋が変わり、速球と同様のフォームから繰り出されることで、打者のタイミングを外す。握り方は投手によって異なるが、大きく分けて親指と人さし指でOKマークを作る「サークルチェンジ」と、中指と薬指を広げるようにわしづかみする「スプリット・フィンガード・チェンジ」の2つがある。直球に球速のある投手ほど、効果は大きい。