闘魂グラブで気合注入!

 阪神岩田稔投手(28)が今季、オリジナルの赤グラブ使用を検討していることが分かった。昨季のグラブは黄色を軸に黒色を併用していたが、心機一転、燃えるカラーで自らを鼓舞する。25日は甲子園クラブハウスで自主トレ。今日26日に沖縄入りし、先乗り合同自主トレに備える。

 12年は虎投を引っ張らなければならない立場。思いの丈が色にも込められたのだろうか。岩田が今季、新たな相棒とタッグを組む。赤く燃えるグラブを手にはめ、甲子園で熱投する姿が見られるかもしれない。

 「手になじむフィット感も重視して、新しい形を作ってもらいました。大事に使っていきたいですね」

 昨季はアシックス「ローリングス」ブランドのグラブを使用。黄色を軸に、黒色グラブを併用していた。手の甲の一部が見える、最も一般的なレギュラーバックという種類だったが、今季用はオリジナルの「岩田モデル」だ。

 レギュラーバックから、手全体をスッポリ包み込むファーストバックに変更。指出し穴も皮で包み込む形だ。柔らかく軽い牛皮を使用し、完璧なフィット感を手に入れた。

 すでに巨人杉内らとの鹿児島・合同自主トレでは、新作に近い形状の練習用・白グラブを使用。2・1キャンプインまでにはさらに改良した黒グラブが完成。シーズンに向け、最後に赤グラブも発注したという。この赤グラブが届き次第、最もなじむモノを新相棒に選択する。

 1人の野手として、昨季は反省が残った。失策数3は阪神投手陣で最多。重要な局面でミスを犯し、自らの足を引っ張ってしまう場面もあった。チームトップでリーグ5位の防御率2・29を記録しながら、9勝13敗と大きく負け越した要因の1つが守備力だったと言える。「守りは自分の課題の1つ」。岩田自身も自覚しているだけに、グラブ改良にもこだわった形だ。

 19日に鹿児島合同自主トレから帰阪。「杉内塾」で強靱(きょうじん)な体を作り上げ、この日は甲子園クラブハウスで自主トレ、荷物整理を行った。今日26日には沖縄入りし、翌27日からキャンプイン前の先乗り合同自主トレをスタートさせる。

 29歳シーズン。もう若手と呼ばれる立場は卒業した。V奪回をけん引したい-。熱い思いはグラブと同様、真っ赤に燃えさかっている。【佐井陽介】

 ◆赤の効用

 エネルギッシュさ、アクティブさなどを感じさせる色とされる。温暖色、興奮色、膨張色(大きく見える)進出色(近く見える)などに分類。アントニオ猪木がプロレスラー時代から常にまいた赤いタオルは「闘魂」を表し、女性の「勝負下着」や男性の「勝負ふんどし」も赤が定着している。ちなみに、闘牛士のマントは牛の興奮を誘うために赤が用いられたが、現在では牛は色の識別ができないことが判明している。

 ◆グラブの色

 野球規則一・一五(a)で規定があり、投手用は縫い目、しめひも、網を含む全体が一色であることが必要とされる。しかも、その色は白、灰色以外のものでなければならないと定められている。茶色が一般的だが、黄、青、黒を好む投手も多い。阪神で赤グラブを使用した投手は、05年能見が青から変更してプロ4戦目に初勝利した。

 過去には巨人加藤初、阪神中西らが愛用。近年ではレッドソックス松坂、ヤクルト由規らがいるが、阪神投手ではほとんどいない。