ソフトバンクが大リーグのタイガースからFAとなったブラッド・ペニー投手(33)の獲得に乗り出していることが28日、明らかになった。メジャー12年で通算119勝を誇る右腕で、ドジャース時代の06年には16勝でナ・リーグ最多勝を獲得。契約がまとまれば杉内と和田、ホールトンが退団した先発陣に超大物の助っ人が加わることになる。

 日本一球団が抱える課題が解消されるかもしれない。ペニーは00年にメジャーに昇格してから6球団を渡り歩き、12年間で119勝を挙げた。近年日本球界にやってきた外国人選手の中でも超がつく大物投手だ。米メディアが交渉中と報じ、ソフトバンク球団もその事実を認めた。石渡編成・育成部長は「今はノーコメントとします」とだけ話し、最終局面に入っていることをうかがわせた。

 直球の最速は154キロ。変化球は主にカーブとフォークを操る。制球が良く、打者を打ち取る本格派の右腕。マーリンズでは25歳の03年に14勝を挙げ、ヤンキースとのワールドシリーズでも2勝を挙げ、世界一に貢献した。06年のドジャースでは16勝9敗で最多勝タイトルにも輝いた。この年は球宴初出場も果たしている。その後は右肩故障もあって白星が伸ばせず、09年以降はレッドソックス、ジャイアンツ、カージナルスと渡り歩いた。

 6球団目となる昨季のタイガースでは31試合に先発し、11勝11敗と2ケタ勝利で復活気配を示した。メジャー通算319試合で先発は315試合という豊富な経験は、過去に来日した投手の中でも光る。日本との縁も少なくない。00年4月のメジャーデビュー戦ではロッキーズ吉井(現日本ハム投手コーチ)と投げ合い、初勝利。02年には日米野球で来日している。ドジャース時代の同僚、斎藤隆と09年にレッドソックスで再会した際は、キャンプ中にケーキを購入して祝福している。

 このオフは和田(オリオールズ)と杉内、ホールトン(ともに巨人)の先発3人が移籍。チームは昨季43勝分の流出に危機感を抱いていた。FAで西武から帆足、元マーリンズでメジャー244試合の左腕ピント、ドミニカ共和国出身の158キロ右腕カストロを獲得。秋山監督は「先発は数がいた方がいいから」とその後も補強の必要性を訴えており、フロントは積極的な攻勢をかけていた。契約がまとまれば、リーグ3連覇と連続日本一を狙うチームにふさわしい補強になりそうだ。

 ◆生まれ

 1978年5月24日、オクラホマ州ブラックウエル生まれ。

 ◆球歴

 96年ドラフト5巡目でダイヤモンドバックス入団、00年にマーリンズでメジャー初昇格。

 ◆サイズ

 195センチ、104キロ、右投げ右打ち。

 ◆血気盛ん

 01年には新庄剛志元外野手(当時メッツ)に故意と疑われる死球をぶつけ、大乱闘を引き起こす。

 ◆隆と仲良し

 04年にドジャースに移籍し、06年に入団してきた斎藤隆と仲良しに。斎藤はド軍入団当初、カラオケで披露した美声で同僚たちのハートをつかんだという逸話があるが、ペニーはこのときのカラオケ仲間でもあった。

 ◆正義漢

 バットボーイが仲間との賭けに負けて、6試合ほど仕事を失ったとき、同情して6試合分の給料をポケットマネーで渡した。

 ◆セレブ

 10年に有名プロダンサーと婚約し芸能雑誌をにぎわせた。が、11年12月に破局したとの情報も。