中日高木守道監督(70)が沖縄・北谷キャンプ第2クール初日の7日、初の打撃投手を務めてチーム最多の205球を投げた。堂上直、吉川を相手に1時間半の熱投。4日に大野がマークした投手陣最多の200球を超え、驚異のタフネスぶりを見せつけた。2日には70歳70本ノックで沸かせたばかり。フェイシャルエステにも励むなど、古希の将が元気ハツラツだ。

 雨の北谷屋内練習場に衝撃の光景があった。「おう吉川、やるか?」。何と高木監督が初の打撃投手を買って出た。恐縮する19歳に、70歳がセットから次々白球を投げ込んだ。ボール球がほとんどない抜群のコントロール。その数は背番号と同じ88を数えた。見守った坂井克彦球団社長(66)が「なんとお元気な方だ」と目を丸くしたが、それは肩慣らしに過ぎなかった。

 ドラ1高橋周の守備練習に首を突っ込み、約15分の送球指導を行うと再び打撃投手に復帰。今度は堂上直に投げ込んだ。その数117球。2人合わせて205球だ。全力投球でないとはいえ、70歳がここまで投げられるものなのか。4日に23歳大野が200球を投げて若さをアピールしたが、それをも超えるチーム最多投球だ。2日は中田亮への70歳70本初ノックで沸かせたばかり。12球団最高齢監督は投げてもすごかった。

 高木監督

 まあ暇だったからね。子どもの野球教室では1日600~700球投げてる。あれぐらいならいつでも投げられますよ。

 本人は涼しい顔だ。「メタボ」と自虐的だが、締まった体形はおじいちゃんではない。連日少しでも時間があれば若手にバントやバスター、守備の手本を所構わず披露。5日は2軍の読谷球場を朝から電撃視察し、6日は韓国LGのキャンプ地をアポなし訪問し、自軍の球団首脳まで驚かせた。どこまでも精力的だ。

 すべては節制のたまものだ。もともとお酒は飲まないが、キャンプ中のネオン街は封印。「ゴルフも断ちました」と前回監督時から一転、休日にクラブを握ることもやめた。「だって、すぐ野球のことが思い浮かぶから楽しくないんだもん」。そして極め付きがフェイシャルエステ。練習終了後の宿舎で、最近ハマっているという。おかげでシワも目立たずお肌はツルツル。美顔効果だけでなく、血行促進で新陳代謝もよくなる一石二鳥の活力源だ。

 高木監督

 球場でするサインにかける時間が減ればその分もらえる人が増える。それで用意したんです。

 この日は朝の球場到着時、ファンに自ら100枚以上の直筆色紙を配った。宿舎で余暇を使い、事前にしたためたものだ。加えて帰り際も、雨の中で1時間超のサイン会をこなした。元祖元気ハツラツのDeNA中畑監督も顔負け。70歳に限界は来るのだろうか。【松井清員】