日刊スポーツ評論家の工藤公康氏(48)が16日、阪神の宜野座キャンプを訪れ、ダイエーでチームメートだった城島健司捕手(35)にエールを送った。フリー打撃を始めるとブルペンからメーン球場に移動。会話を交わし、ネット裏から打撃を見守った。

 工藤氏

 野球をやりたいんだという気持ちを強く感じた。捕手をしたいけど、それ以上に「野球をしたいから、ここにいるんだ」という思いが強い。とても大事なことだし、やり続けている間に、プロ野球選手として戻ってきてほしい。

 ダイエー時代の95年から5年間、バッテリーを組んだだけでなく、捕手の基礎、プロとしてのあり方まで伝授。城島も一流へのヒントを学んだ。そんな弟分だからこそ、状態を気にかける。左膝を2度手術、右肘痛の故障禍。まだ捕手として座る動作ができず、開幕は一塁としてレギュラーを目指す城島の守備練習を見て熱い思いを感じ取った。

 工藤氏

 城島健司は捕手しかやっていないし、捕手を極めたのはみんな知っている。ファーストをやると見え方も違うし、いい勉強になるんじゃないか。捕手でやるより(不慣れな)一塁は緊張感がある。あとは試合でのとっさの判断ができるか。膝はコンディションの作り方が難しい。一番感心したのは、試合に出るため体重を落としたこと。試合に出るという思いを強く持っていると感じたね。

 昨季限りで引退し、スーツを着た工藤氏からのインタビューに戸惑いながらも城島は真顔で誓った。「最後は捕手。一塁ができても、膝のリハビリはあきらめない。捕手として復帰するリハビリは続ける。(一塁は)視野も広がる。捕手に戻って『いい1年だった』と思えるようにしてやろうと思っている」。師の激励は確かに伝わっていた。【酒井俊作】