今年も守護神は譲らない!

 中日岩瀬仁紀投手(37)が今季初実戦に臨む。23日に予定されていたアジアSBの韓国LG戦(沖縄・北谷)がグラウンド状態不良のため中止。今日24日の同LG戦にスライド登板する。試合ではシンカー系の新球も投げる予定だ。またこの日、落合政権下では恒例となっていた本拠地オープン戦初戦(3月2日・広島戦)の先発も決定した。

 試合中止にも球界を代表するストッパーは泰然自若だった。午前中に室内練習場で行われたチーム全体のサイン確認を終えると、さっそく投球練習を開始。直球を主体に30球を投げて調整した。ただ、ブルペンではいつもの温和な表情は一切なし。本気モードに突入している証拠だった。

 岩瀬

 明日いきますよ。まっすぐをいい形にして変化球に入っていきたい。新球?

 投げます。試そうとは思っている。とにかくまっすぐを見てからですけどね。

 「新球」とは今キャンプから試しているシンカー。右打者の外角に曲がって沈む変化球だ。岩瀬は代名詞のスライダーなど横に変化する球種の使い手として知られるが、300セーブを超えてなお、投球の幅を広げるために縦に落ちるボールを試してきた。フォークやチェンジアップなどの選択肢もあったが、現在の投球フォームに影響を与えないのがシンカーだった。

 開幕からフル回転することが今季の大きなテーマ。昨季は56試合に登板して37セーブ。7年連続30セーブ以上を挙げたが、球宴までの前半戦で9セーブと春先の体調不良もあってつまずいた。権藤投手コーチは「頼れるのは岩瀬」と絶対的な信頼は寄せてはいるが、浅尾とのWストッパー構想を明かすなど「9回」を確約されたわけではない。例え岩瀬であっても、開幕までに安定感を示す必要がある。そのための武器がシンカーだ。

 恒例の“先発マウンド”も決まった。この日、権藤投手コーチが「真っさらなマウンドで1年間投げられないんだからご褒美だよ」と本拠地オープン戦初戦となる3月2日広島戦で先発させる方針を明かした。落合政権下で5度も経験した恒例行事を本人も希望したという。

 球を沈めて完全復活の上昇カーブを描く。今日24日から岩瀬の新たな戦いが幕を開ける。【桝井聡】