前田が前田を取材した!?

 広島前田健太投手(23)が25日、プロ入り以来初めて前田智徳外野手(40)に投球の感想を求めた。宮崎・日南市内の天福球場で今季初のシート打撃に登板。前田智とも2打席対戦し、1安打を浴びた。通算2099安打を放つベテランのアドバイスを受け、さらなる進化を目指す。

 最後の3巡目の投球を終えると、前田健は前田智の元へ歩みを進めた。時間にすれば、わずか3分足らずだが、通算2099安打を積み重ねてきた大先輩の意見を聞きたかった。

 「今回初めて聞きました。すごい打者なので、自分がどういう風に打者に見えているか聞きたかった。気持ちよく投げたり、力を入れていても、見えやすかったら意味がないので。前田(智)さんや、(石井)琢朗さんから言われることは参考になるので」

 プロ6年目にして、同姓の大先輩に自身の投球を解説してもらうのは初めてだった。内容は「内緒です」と笑って明言を避けたが、今後に向けてのヒントがあったという。フォームのバランスや、投球時の腕の位置など、技術的なアドバイスを授かった。

 シート打撃では1打席目に、外角の直球をライナーで左前に運ばれた。実際に、打たれた相手だけに感想を聞きたくなるのは必然だった。初のフリー打撃初登板となった19日にも対戦。継続的に対戦を重ねていたことも、今回の行動につながった。

 「今は徐々に悪いところが出てきている。力を入れると、どうしてもフォームが崩れる。まだ、ボールがいかない」

 実戦モードに入ってきたことで、課題も見えてきている。3巡目はセットポジションでの投球だったが、グラブは腰の前に構えていた。今キャンプでは、セット時にグラブを胸の前で構えるフォームを試していたが、以前の投球フォームに戻す決断を下した。

 「うまくいかなかったので。元のフォームの方がタイミングが合う。でも、あらためて分かったこともあったので良かった」

 次回は29日に行われる紅白戦での登板が濃厚だ。開幕まで1カ月となり、1つ1つが本番仕様となってくる。投打の看板を背負う「マエダマエダ」の融合で、エースはまた進化を遂げようとしている。【鎌田真一郎】