<オープン戦:ロッテ4-0ソフトバンク>◇20日◇QVCマリン

 ソフトバンク山田大樹投手(23)がロッテ西村徳文監督(52)から「クレーム」を受けた。3回に審判からセットポジションの入り方が不明瞭と伝え聞かされた。ただ反則投球にならず違和感のある指摘にチームは困惑。この回に4失点した山田は6回7安打4失点でオープン戦初黒星となった。開幕ローテ確実な左腕にとんだ“いちゃもん”がついた格好だ。

 マウンドに向かう山田が名幸球審に呼び止められた。セットポジションのしぐさをつけて指摘を受けると、首をひねり、少し口をとがらせた。秋山監督と高山投手コーチも思わずベンチを出た。3回に起きた場面について同球審の説明はこうだ。「セットポジションにいつ入ったか分かりにくいと。深呼吸なり、足を動かすなりしないと。ペナルティーではないですが、マナーとして。西村監督から話がありました」。

 ベルトの前で構えたグラブに、ボールを保持した左手を入れる動作が小さいため打者がセットを認識しにくいというが、ルール上は反則でもない。これに山田は「打者が見にくいと言ってるらしいのですが、審判はそうは言っていないから関係ないでしょ」と突っぱねた。高山投手コーチも「反則じゃない。なんでうちの投手ばっかり…」と困惑。山田は前回13日のDeNA戦でもキャンプで指摘された2段モーションで反則をとられた。直後に球審が「問題なし」とあらためたが、立て続けの逆風だ。

 審判を介した“いちゃもん”と受けとめてもおかしくない指摘。西村監督はこの件に言葉を濁した。昨年の日本一とあって厳しいマークを受ける立場で、開幕ローテ入り確実な昨季7勝左腕への警戒感が強まっていると言えそうだ。

 山田は、これが直接的な原因ではないものの、1死満塁から遊ゴロで先制を許し、サブローに3ランを浴びた。オープン戦の連続無失点は14イニングで止まり、6回7安打4失点で初黒星。それも前日19日に「点を取られた方がいい」と宣言した通りの内容を歓迎してみせた。

 「不安なく行くより多少悪いのがあって行く方がいい。もう1回引き締めるカンフル剤として、悪いのをだせた。開幕に向けてしっかり調整したい」

 ワンバウンドなど制球が乱れた要因を「今までよりランニングを増やした分、体のバランスが崩れたと思う」とはっきりと自覚。敵の陽動作戦にもビクともしない左腕は余裕にあふれていた。【押谷謙爾】

 ◆野球規則8・01

 セットポジションに関する規則で「投手は打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を静止したとき、セットポジションをとったとみなされる」という前提があり「セットポジションをとるにあたっては、投手板を踏んだ後投球するまでに、必ずボールを両手で保持したことを明らかにしなければならない」と注釈がある。今回は、セットにいつ入ったかが打者に分かりづらいという指摘だが、明らかなルール違反ではない。