<オープン戦:中日4-1楽天>◇24日◇ナゴヤドーム

 守道竜の開幕クリーンアップが決まった。中日和田一浩内野手(39)が先制タイムリーを含む2打数2安打。昨季大スランプに陥った男がオープン戦打率を3割4分4厘まで上げ、完全復活をアピールした。得点力アップへ、3番森野と4番山崎の後を打つ5番をキーに挙げてきた高木監督も満足の合格点だ。開幕ダッシュへ、役者がそろった。

 5番和田。守道竜の開幕オーダーの、最後のワンピースが決まった。4回にヒメネスから先制の左前タイムリーを放つなど、2打数2安打。オープン戦打率を3割4分4厘まで上げた。昨季は自己ワーストといえる大不振に陥った男が、鮮やかに復活。竜の将は3番森野、4番山崎、5番和田の開幕中軸を確定させた。

 高木監督

 ここへきて、彼らしいライナーのヒットが出るようになってきたね。いいんじゃないですか。

 キャンプから「あとは和田」と言い続けてきた。前を打つ4人が機能しても、チャンスで巡ることが多い5番が機能しなければ得点力は上がらない。昨季は12球団最少の419得点で21度も完封負け。5番和田の不振の影響は大きかった。

 この日の4回、一挙4点を奪った攻撃はその裏返しだ。5番和田がチャンスで返し、さらにチャンスが広がってビッグイニングが生まれた。高木監督も「ワンチャンスでも、ああやってバーンとつながれば」と大満足。5番の重要性をあらためて示した試合でもあった。

 和田

 (4回の適時打は)厳しいボール。0-3から打つ球じゃなかったですけど…。状態は悪くない。開幕まであと1週間ですが順調に来てると思います。

 昨季は統一球で苦しんだ。「今までやってきたことが崩れ去った。優勝したけどほとんど貢献できなかった」。飛ばないボールで壊れたフォーム。だが一昨年MVPを取った打法に間違いはないはずだ。その確信を持ちオフは例年より2週間早く始動。没頭したのは体幹トレーニングだった。

 フォームを支える体幹を鍛え直せば、飛ばないボールも克服できる。自主トレでは格闘技系のハイキックや、重さ10キロのロープを振り回すメニューも導入。キャンプでは通常の約2倍、300グラムの球を打ち返すティー打撃を繰り返した。強い体を手に入れ、MVPフォームも取り戻した。

 和田

 しっかり振れるか振れないか。継続しながら体調を整えて、万全の状態で開幕に入りたいですね。

 得点源が力強さを増して帰ってきた。これで12球団一の貧打線も返上。強竜打線が復活だ。【松井清員】

 ◆昨季の不振VTR

 10年セ・リーグMVPは、オフに大胆な打撃改造に取り組んだが、思うような成績が残せずシーズン終盤には目の不調にも苦しんだ。9月には移籍後初となる2軍落ちも経験。レギュラーに定着した02年西武時代から最低となる打率2割3分2厘、12本塁打に終わった。ソフトバンクとの日本シーズン終了後には「勉強になりました。でもまだ先があるんで頑張ります」と巻き返しを誓っていた。