「破天荒」ダッシュだ!

 広島野村謙二郎監督(45)が集大成となる3年目に挑む。中日との開幕戦に備え、29日にナゴヤドームで行われた前日練習後は「がんばります」と、多くは語らず決意を固めた。先陣を切るエース前田健を中心に投手陣が充実。前評判はセ・リーグの「台風の目」ともされる今季、自信をもって12年シーズンに出陣する。

 自信の表れかもしれない。野村監督はじっと選手の動きを見続けた。キャンプから、オープン戦まで、自ら積極的に指導を続けてきた指揮官が、本番前日になり「動」から「静」へとスイッチを切り替え、どっしりと腰をすえた。

 練習後も、しっかりと前だけを見つめ、速足で歩みを進めた。飛び交う質問にも「がんばります」と短く言い、バスに乗り込んだ。集大成と位置づける3年目のシーズン。決意を胸に秘め、勝負師の顔になった。

 開幕前日に監督が会見に応じないのは異例だ。オレ流を貫いた落合博満前中日監督(日刊スポーツ評論家)を、ほうふつさせる立ち居振る舞い。破天荒=前人のなしえなかったことを初めてすること。チームスローガンの言葉の意味通り、今シーズンは誰も想像の付かない采配から、壁をぶち破る-。ファンの胸躍るシーンがいくつも演出されるかもしれない。

 過去2年とは状況が変わった。開幕前の予想はほどんど下位に置かれることが当たり前だったが、今季は台風の目になり得る存在という位置づけに変わった。赤ヘル旋風を巻き起こすため、キーマンには「若手」を挙げている。

 打者ではオープン戦首位打者の松山や、パンチ力のある会沢が初の開幕1軍入り。中でも、期待をかけているのが3年目堂林だ。将来の中軸候補として、春季キャンプから抜てきし、オープン戦でも使い続けた。「フレッシュな顔ぶれが、いかに飛躍してくれるか。破天荒な成績を残してくれれば」とブレークをあおる。

 自信を持つ投手陣にも新戦力の上積みがある。前田健、バリントンの2本柱に、福井、完全復帰を期す大竹。そして、ルーキー野村も開幕ローテ入りし、計算できそう。セットアッパー今村の状態が不安定ながら、新助っ人ミコライオがオープン戦6試合無失点。終盤のサファテとのリレーは強力だ。91年を最後に遠ざかるリーグ制覇。野村監督の破天荒タクトが悲願への羅針盤になる。【鎌田真一郎】