<日本ハム1-2楽天>◇13日◇札幌ドーム

 エースとしての投球だった。楽天田中将大投手(23)が日本ハム打線を8回7安打1失点に抑え、今季3試合目の登板で1勝目を挙げた。昨年9月以来となる日本ハム斎藤佑樹投手(23)との対決が注目されたが、エースとして何より勝利を求めていた。前回6日のオリックス戦では、2点リードで完封目前の9回2死から4連打で同点を許した。開幕から2試合続けて白星がつかなかったが、星野仙一監督(65)の信頼を受けて力投し、チームの連敗を2で止めた。

 鬼の形相で田中は腕を振った。最少リードの8回。日本ハム先頭糸井に7球粘られフルカウント。最後はインハイにこん身の151キロ直球を投げ込んだ。空振り三振。口を大きく開けて叫び、両手の拳を強く握り締めた。8回1失点でマウンドを降り「なんとしてもカード(3連戦)の頭をとりたかった。今日は本当にとれてよかった」とほっとした表情で振り返った。

 かつて、ともに甲子園を沸かせた斎藤とのプロ2度目の投げ合いを制した。相手が7回途中で先に降板したときも、表情は変わらなかった。「正直そんな余裕はなかった。自分のことでいっぱいいっぱい。とにかく勝ててよかった」と心の内をさらけ出した。

 昨年同様に注目される2人の対決前、星野監督は「もう高校生じゃないんだ。プロやぞ」と冷静だった。田中が2戦連続で勝ち星に見放されても「ああだこうだ言わなくていい。あいつはどちらかというと考えちゃうタイプだから」。余計な口出しはせず、温かく見守っていた。エースへの信頼は変わらなかった。

 監督から寄せられる信頼を、田中も開幕前から受け止めていた。3月上旬の遠征中、星野監督主催の投手会が行われた。フカヒレの刺し身などが並ぶ超高級中華料理。2つの円卓があったが、後から席についた田中は迷わず監督のいる方へ座った。下柳、小山伸らベテランとも同席だったが「行きづらい雰囲気もありましたよ。でも緊張はしても、行かなきゃと思ったんです」と尻込みしなかった。自覚の表れだった。監督の現役時代や田淵ヘッドとの思い出話で、あっという間の3時間。先輩たちに焼酎をつぎながら楽しんだ。監督の「お前ら、頼むぞ」のひと言を、円卓を挟んだ正面で聞いた。

 4回まで毎回走者を背負う苦しい投球だったが、星野監督は「最初の1勝は苦労するんだよ」と思いやった。5回以降は内角直球が決まり、初勝利を手に入れた田中は「苦しかったですけど、みなさんに助けられました。投げ急がず、力みをとることができました」と喜んだ。今季1勝目。戦いはこれからだ。【斎藤庸裕】

 ▼田中が3試合目で今季初勝利。これまで田中の1勝目は07年4試合目、08年2試合目、09年1試合目、10年2試合目、11年1試合目で、新人だった07年に次いで遅い初勝利となった。この日は7安打を打たれるも、被本塁打はなし。田中が本塁打を許したのは、昨年8月7日日本ハム戦の5回に打たれたスケールズが最後。その後は112イニング被本塁打0を続けている。