<ロッテ0-1西武>◇20日◇QVCマリン

 いろいろ惜しかった。西武石井一久投手(38)が「1-0」完封に貢献した。プロ初の無四球完封まであと1死のところで降板したが、5安打無失点の力投。5回までは1人の走者も出さない完全投球だった。5年ぶり完封もならなかったが、低迷するチームにカツを入れるベテランの力投が光った。

 日米21年目で初の無四球完封まで、あと1死だった。リードは最少の1点。連打で2死一、三塁のピンチを招き、肩を落として降板した石井は「頑張れませんでした。現役の終わりかけに最大のチャンスだったんですけど、もうないんじゃないかな。僕に無四球は絶対無理です」。悔しさはあっても、いつものように和やかな笑いに変えた。

 夢を見せた。5回まで、1人の走者も許さない。完全試合を意識したか、の問いには「(直球が)130キロ台じゃ無理でしょう。昔なら意識していたかもしれません」と答えた。ヤクルト時代の97年にノーヒットノーランを達成。150キロ台の快速球を連発した当時は、球威に任せて制球に苦労した。球速へのこだわりを捨てたことで「間とかが大事」と野球の奥深さを知るきっかけになった。制球や駆け引きで勝負し、ロッテ打線の裏をかいた。

 生まれ育った千葉で、98年以来の白星だった。QVCマリンは、球場周辺に並ぶ屋台が充実。ご当地グルメを愛する石井にはたまらない。登板がない時は、ファンに交じって店を物色し、焼き鳥20~30本を“大人買い”する姿も目撃されている。「さすがに1人じゃ食べきれません。みんなで分けて食べてます」。食いしん坊に見せて、さりげない気配りも忘れない。屋台フードの差し入れで投手陣の結束を強め、最後は守護神ゴンザレスに助けられた。

 記録を逃しても、気持ちは切らさなかった。6回、先頭の清田に初安打を許した後、星孝がマウンドにきたが「何を言ったか覚えてません。間をとりたかったんでしょう」。内容でなく、捕手の意図を理解してピンチを脱した。今季初勝利で、日米通算173勝目。200勝の大台が見えてきたが「その前には確実に引退していると思います」。今年で39歳。投球も、石井節も、キレ味が衰える気配はない。【柴田猛夫】