<DeNA3-11阪神>◇22日◇横浜

 ♪さらば~、連敗よ~!

 阪神大和内野手(24)が自己初6打点の活躍で、連敗ストップの立役者となった。今季初めて7番で先発起用され、ドカン、ドカン、ドカンと長打ばかり3発。今季最多11点の猛攻を導き、DeNA戦の連敗も、日曜日の連敗もまとめて止めた。嫌な流れもこれで一新。さあ、連勝街道といきましょう!

 目の前で城島がバットを置いた。敬遠は当然の策。分かっていても、悔しいモノは悔しい。「何くそ、という気持ちがあった」。1ボール2ストライクからの高め直球。大和はコマのように体をクルリと軸回転させ、左中間に大飛球を飛ばした。快足で三塁を陥れる間に3者が生還した。1点リードの5回。揺れ動く勝負の針、その行方を決めたのは「恐怖の7番」だ。

 大和

 2戦とも下位にチャンスがあった。岩田さんもずっと勝ててなくて、いろんな思いがありました。

 2日連続で下位打線が好機を生かせず、DeNAに2連敗。打順のテコ入れが行われ、6番マートンが1番、1番平野が2番へ。大和は今季初めて7番に座った。2点リードの初回2死一、二塁で2点左翼二塁打。しかし岩田の3失点や走塁ミスがあり、危ういムードで出た値千金の一打。7回にも左中間へ適時三塁打を決めた。6打点はもちろん、猛打賞すらプロ初。昨季までプロ6年間で通算11打点の男は照れ笑いで「ホッとしました…」。

 「大和」。父は陸上自衛隊勤務だが、実は名前の由来は戦艦大和や宇宙戦艦ヤマトではない。父利和さん、兄大輔さんから1文字ずつもらったという。「2人の魂が入ってるんです」。

 今も1通のメールを大切に保存する。09年8月2日、送り主は父だ。初めて甲子園の巨人戦で4打席立ち、すべて凡退。どん底まで落ち込んだ夜だった。「負けるな。バットを指4本分短く持って、地を這(は)うようなゴロを打ってください-」。250文字を超える長文に目頭が熱くなった。

 大和

 父ちゃんはメールを打つのが苦手なのに…。

 古風な父はつい2、3年前にメールの文字打ちを覚えたばかりだった。眼鏡を外し、右手人さし指だけで必死で打つ姿を知っている。「そこまで心配してくれて…。早くちゃんと親孝行したいんです」。熱い思いが日々の努力を生む。

 兄は母校樟南野球部の先輩。2度甲子園に出場し、今は地元鹿児島のスポーツ用品店で働く。以前、グラブの型付けをお願いすると、その内側、手首部分に「感謝」と彫ってくれた。「このグラブで一緒に1軍に行こう」。かけられた言葉は宝物だ。兄作製のグラブは今も甲子園のロッカーで大切に保管。長年、家族に支えてもらった。一過性の活躍で満足はできない。

 大和

 常にレギュラーで出る気持ちでやってます。

 雨降る横浜、ヒーローインタビューで力を込めた。首位中日追撃へ。虎を少しの眠りから覚ました24歳は、「水も滴るイイ男」だった。【佐井陽介】