<広島2-3中日>◇22日◇マツダスタジアム
劣勢でもあきらめるな!
広島前田智徳外野手(40)が、意地の同点打を放った。1点を追う8回1死二塁から代打で登場。中日2番手浅尾から同点二塁打を放ち、史上33人目の通算350二塁打を達成した。9回に勝ち越されて3連敗となり、貯金はなくなったが、23年目のベテランがチームをけん引する。
両手を合わせて、喜びをかみしめた。前田智は二塁に到達する前に、ポン、ポンと2度手をたたいた。積み上げてきた350本目の二塁打。それよりも、同点に追いついたことへの感情がこみあげた。
前田智
点が入るなら何でも良かった。いい所に飛んだよ。3つは負けられんよ。
切り札としての仕事をまっとうした直後、21年前のリーグ優勝を知る男は熱いコメントを口にした。
1点を追う8回、1死二塁で東出に代わって出番が回ってきた。マウンドには、球界最強セットアッパーの浅尾。過去2年で5打数3安打2打点と好相性の右腕を、この日もひと振りで仕留めた。「抜けたフォーク」と振り返った内角の球を引っ張った。一塁線を破る適時二塁打。スコアボードに「前田智徳外野手
通算350二塁打達成」の文字が映し出された。ベンチに戻ると、仲間がハイタッチで迎え入れてくれた。
90年6月6日ヤクルト戦(広島)。高卒1年目で、プロデビュー戦が6番中堅手でスタメン出場した。1回に巡ってきた初打席で、西村から放った二塁打から前田智のプロ野球人生が始まった。
「私はもう野球選手ではありませんから」。春季キャンプ中、代打が主戦場となった立場を自虐的に表現したが今季も存在感を示し続ける。ここまで9打数4安打の打率4割4分4厘、栗原と並びチーム3位タイの5打点を挙げている。
ひと振りにかける男は、準備段階から気を抜かない。完璧を求めるがゆえに、自身に過剰なプレッシャーをかけることがある。15日ヤクルト戦(松山)の試合前、前田智はロッカー室でほえた。バットもなぎ倒すほど荒れた。フリー打撃で納得いく打撃ができなかったことへのいら立ちが行動に表れた。野球に対するストイックな姿勢は、誰もが目にしている。
野村監督
前田がせっかく期待に応えて、350二塁打ですか。ホームでいい流れで、今日は勝ちたかったけど。補えないところが、今のチーム状況。
指揮官もベテランの奮起をたたえた。ただ、チームは中日に引き分けをはさみ5連敗。3連敗で貯金もなくなった。ベテランの奮起に負けず、再出発するしかない。【鎌田真一郎】



