ライバルの息の根を止める-。阪神の強力先発陣が「G倒シフト」に再編される。28日からの9連戦のうち6試合がライバル巨人との伝統の一戦。ここへ能見、岩田の両左腕、そして、中5日でメッセンジャーと3本柱を投入する。最下位にあえぐ宿敵を春のうちに徹底的にたたくことで優勝に近づく!?

 23日、先発陣はうららかな春の日差しを浴び、甲子園の緑の芝生を走っていた。今日24日からの広島3連戦に備え、そして、その先に待つ9連戦を見据えながら…

 「9連戦?

 それよりもまず明日からの3連戦が大事だろう」

 藪恵壹投手コーチ(43)は目の前の戦いに集中していることを強調したが、水面下では先発ローテ再編に動いていた。交流戦前最大のヤマ場となる28日からの9連戦は巨人、中日、そして、巨人が相手。9試合のうち6試合を戦う巨人たたきがテーマとなる。ここにぶつけるのが能見、岩田、メッセンジャーの3本柱だ。

 「それは言えないよ。チーム事情だから」

 多くを語らなかった藪投手コーチだが、今週が5試合のため、スタンリッジの登録を抹消した。これで岩田、メッセンジャーの登板順が1つずつ繰り上がり、昨季の勝ち頭3人を巨人戦にぶつけられることになった。

 能見は昨季4勝1敗、防御率2・30。今季も6日甲子園で完封勝利を飾った言わずと知れたGキラー。岩田はDeNA戦で今季初勝利を挙げて上り調子、初登板でつまずいたメッセンジャーも2連勝中と安定感抜群だ。ともに相手を見下ろして投げることができる力のある投手。現在、借金7の最下位とあえぐ巨人に、柱3本をぶつける容赦なしの作戦だ。

 「相手の状態うんぬんではなく、自分たちのやるべきことをしっかりやる。相手の状態に左右されないで、ミスしたことをしっかり反省して、次のことを生かしていく」

 藪投手コーチは首をかしげたくなるようなライバルの失速には影響されず、自分たちの力を出し切ることの重要性を説いた。開幕前、断トツの優勝候補と言われた巨人を浮上できないくらいに沈めることは、優勝への近道にほかならない。【鈴木忠平】