<ウエスタン・リーグ:中日5-5阪神>◇24日◇ナゴヤ
甲子園で打線が沈黙する一方、2軍調整中の伊藤隼太外野手(22)が故郷名古屋で目覚めた。初の猛打賞となる4安打2打点と大爆発だ。即昇格は見送られるが、1軍復帰を猛アピールした。中京大中京の2年後輩、広島堂林に甲子園1号の先を越され、このまま黙ってはいられない。
甲子園で虎党がため息を漏らす数時間前、2軍戦では希望の星が躍動していた。敵地ナゴヤ球場が、ハヤタ劇場となった。3-3で迎えた5回の第3打席。2死一、二塁から矢地の直球をとらえ、守備範囲が広い中日の中堅藤井の頭上を破る2点適時二塁打。第1、2打席の右前打2本と合わせ3の3。試合前半で初の猛打賞を決めた。
これだけでは終わらない。遊ゴロを挟んだ第5打席にも、金剛から右中間を破る二塁打。三塁で憤死したが、4安打の固め打ち。ド派手な地元凱旋(がいせん)となった。
「ここのところ、いい感じで打てていた。たまたま結果が出たと思います」
結果にはさほど興味は示さなかったが、内容も十分だった。2本の長打は完璧な当たりで、序盤の2本の単打は味のあるバッティング。ともに一塁に走者を置いて、一、二塁間をしぶとく破ったもの。「一塁にランナーがいたので、引っ張ればヒットゾーンは広がるかなと思った」。走者を進めつつ、安打にしてみせた。
高校までを過ごした愛知での試合。スタンドには母孝江さん(53)もいた。オープン戦と1軍の開幕戦など、母が観戦した試合はこれまで無安打。孝江さんは「初めて(目の前で)打ってくれました。良かったです。地元だとちょっと違うのかな」と笑顔。頼もしい姿で親孝行もした。「試合は毎日ある。4本打ったからといって何も変えず、自分ができることに集中するだけです」。浮かれず、おごらず、大型ルーキーは日々、成長中だ。
「ハヤタ4安打」の知らせは、すぐに1軍に届いた。完封負けの後、片岡打撃コーチはこう話した。
「今日の報告では打球方向も、打っているコースもよくなっているということだった。ただ、頭からいける選手になってもらわないとね。最後の守備とか、走塁とか、そういうものが求められてくるし、4本打ったから、すぐに(1軍)というのはない」
捕手2人制で、非常事態の“3番手”を外野手の浅井が兼務している現在の体制では、伊藤隼の割り込む余地は少ない。スタメンを張れる選手に育てるという首脳陣の方針もあり、即1軍昇格はなさそうだが、完封負けのモヤモヤを吹き飛ばしてくれそうなグッド・ニュースだった。



