<ソフトバンク1-3西武>◇25日◇福岡ヤフードーム

 西武が連敗を3で止め、昨季からのソフトバンク戦の連敗も7で止めた。3番中島裕之内野手(29)が3安打2打点。昨季は100打点も、試合前まで得点圏打率1割と勝負強さを発揮できなかった。「天才」と称されるが、打撃状態を把握した上での準備があった。

 試合前、打撃練習を行った中島は、バスターを繰り返した。丁寧なスイングから放たれる打球は、打撃投手の防球ネット、二塁ベース近辺を次々と通過した。「力まんようにね。ボールが来た方向に、しっかりと返せるように。バットの面でしっかり捉える意識で」。チーム打率リーグ最下位で、主軸への重圧が高まる中、力みも生まれる。そんな中でも、冷静に自身の状態を見極め、スイングの軌道を確かめた。

 結果で示したのは、3回だった。2死二塁、大隣の低めに沈むチェンジアップを、バットに乗せるように右前へ運んだ。前日24日は1点を追う3回2死一、二塁で内角を攻められ、引っ張りにかかって、平凡な左飛。その悔しさを晴らす一打だった。1回は基本通りの中前打、8回の適時二塁打は左中間を破ったが「インコースに来たんで自然と振れた」。

 中島流の準備は開幕前にもあった。3月27日、打撃練習から突如姿を消した。練習の大半は内野ノック、外野での走り込み。休養日を含め、開幕日までの4日間、独自の調整を続けた。WBC、開幕戦など大事な一戦を前に、行われてきた儀式。「2年前から始めています。一番の目的は体をニュートラルに戻すこと。打つことで逆に変な癖がつくこともあるし、体も心もリセットして、開幕に臨みたい」と説明した。

 1度もバットは握らないが、頭の中でバットを振る。「打撃練習とか見ながら、この球だったら、こう打とうとか、あっちの方向に飛んでいくな、とか。頭でイメージしながら、バットを振るんです。僕の中ではそれが準備」との言葉通り、一昨年、昨年と開幕戦でアーチをかけている。チームは最下位に沈み、浮上の兆しが見えない。その責任を十分感じていた。オレ流だが、今のチームのために出来ることは何か。そこには確固たる準備があった。【久保賢吾】