<ソフトバンク3-5西武>◇26日◇福岡ヤフードーム
今季初の連勝を導いたのは、苦労人の劇的な1発だった。2点を追う9回2死満塁、西武米野智人外野手(30)が値千金の逆転満塁本塁打。渡辺監督が雄たけびを上げ、涙するファンもいる中、気持ち良さそうにダイヤモンドを回った。「久しぶりに興奮しました。打った瞬間、いい手応えがあったので、入るんじゃないかなと。初めてチームに貢献できた」。自身初の満塁弾は、5年ぶりの1発、さらには移籍後初アーチでもあった。
ヤクルトに入団後、古田敦也の後釜として期待を受けながら、10年シーズン途中にトレード移籍。今季から本職の捕手ではなく、外野手として再スタートを切った。「正直、未練はありましたけど…。でも、外野の方が出られるチャンスが増えるだろうし、挑戦してみようと」と捕手への思いを胸に押し込み、フィールドに立つことを決めた。
渡辺監督から「バッティングを生かすため」と期待されたように、キャンプ中は、ひたすらバットを振り込んだ。チームの休養日でも、チーム宿舎から練習場まで自転車をこぎ、休日返上で打ち込み。室内練習場から聞こえる甲高い打球音はキャンプの風物詩だった。重圧の中でも、捕手目線で「満塁だったし、ボール先行にしたくないだろうから」と冷静に直球を待てたのは、振り込んできた自信があったからだった。
渡辺監督は「米野がよくあそこでね。びっくりした。大仕事をしてくれたね。勝ち方が今までと違って劇的。ちょっと雰囲気が変わるかな」と最下位からの逆襲を予感した。試合後、大勢の報道陣に囲まれた米野は「久しぶりですね、この感じ」と感慨深げな表情を浮かべ、殊勲のインタビューに答えた。【久保賢吾】
◆米野智人(よねの・ともひと)1982年(昭57)1月21日、札幌市生まれ。北照高(北海道)2年春に甲子園出場。高校通算27本塁打。99年ドラフト3位でヤクルト入団。01年9月7日の巨人戦(東京ドーム)で1軍デビュー。正捕手候補の1人だったが10年6月、交換トレードで西武移籍。今季は外野手登録。通算成績は600打数127安打58打点、打率2割1分2厘、13本塁打(26日現在)。183センチ、85キロ。右投げ右打ち。



