<日本ハム2-1ロッテ>◇26日◇東京ドーム

 天敵はどこまでも天敵だった。好投のロッテ渡辺俊介投手(35)は同点の6回2死、打席に稲葉を迎えた。通算65打数29安打で打率4割4分6厘。被安打数は現役投手の中で最も多い。だが、ここまで2打数無安打。「打たれても単打なら」。状況を読み、初球から1発を警戒していた。そして、外角低めに沈むボール気味のシンカーを選択した。1打席目に二ゴロに打ち取った球。同じ球が投げられれば最悪でもヒット止まりだ。だが落ちない。シュート気味に抜けた球が外角高めへ。そして右中間へ放り込まれた。

 思惑通りの軌道ではなかった失投。だが首をひねる。「高かったが、あそこまで飛ばされる球だったか…」。ベストの球でもないが、最悪の球でもなかった。

 過去にも煮え湯を飲まされてきた。07年7月には内角高めのボール球のカットボールで1発を浴びた。打たれるはずのない球。「あのコースを打たれたのは(04年の)日米野球でのクロフォード(当時レイズ、現レッドソックス)だけ。甘い球を打たれるのは仕方ないが、ボール球を打たれるといつまでも覚えているもの」。傷は残っている。

 6回2失点。負け投手の投球ではない。だがまたも天敵・稲葉が立ちはだかった。「2000本、リーチ!」。悔しさを隠すかのように明るく振る舞うしかなかった。【広重竜太郎】