<阪神1-0広島>◇26日◇甲子園
気迫に満ちた投球がサヨナラ劇を呼んだ。阪神安藤優也投手(34)が9回4安打無失点。0-0の9回、絶体絶命の危機も連続三振で切り抜け、自己最多タイの10奪三振をマークした。公式記録では、開幕から自身3連勝となる白星は手にできなかったけど、虎ファンはみんな思ってるはず。「勝ち投手」はアナタです!
次も頼むで~。
歓喜の輪に真っ先に飛び込んでいった。延長11回にサヨナラ勝ちだ。ナインにまじって安藤が笑顔でジャンピングニーパットをかます。劇的タイムリーの平野と並んで引き揚げる。自身に白星がつかなくても関係ない。必死になってつかんだ1勝に心底から喜んだ。
「9回を投げたのは久しぶりだと思う。これから自信になる。広島は初球から積極的に振る打者が多い。初球から勝負球でした」
ベテラン右腕もまた勝利の立役者だ。9回無失点の“完封”は06年9月3日横浜戦以来、実に6年ぶりだった。9イニングも09年以来。フォーク、チェンジアップを自在に操り、完全復活を確信させた。
絶体絶命のピンチでこそ底力が試される。8回を降板後、ベンチで和田監督から声をかけられた。「9回も行けるか?」。意気に感じた。「行きます!」。短い言葉に責任感がこもる。両チーム無得点の9回は正念場だった。1死一、三塁のピンチで、ニックをフォークで空振り三振。広瀬にはボールが3球続いたが、冷静にカウントを整えた。二盗を許して二、三塁。勝負球のフォークで空振り三振に仕留めると両腕を突き上げてガッツポーズした。
「あの場面、3ボール2ストライクになって小宮山がフォークを選択すると思った。(監督に)『行きます!』と言った以上、0点に抑えないといけない」
勝利への執念は、ピンチ脱出劇の前から始まっていた。8回裏。次打者席に立つ安藤は度肝を抜かれた。目の前でミコライオが8番小宮山に剛速球を連発。156、157…。右手がしびれる恐れがあっても、ひるまず立ち向かう。空振り後、156キロを遊ゴロ。凡退したがチームの勝利を最優先する姿勢にあふれた。
「詰まって、かなりしびれたけどキャッチボールをして問題なかった。1点勝負。バットに当たれば何があるか分からない。どこに飛んだか分からなかった」
私情よりも1勝を追求する心意気にあふれた。今季3勝目はお預けだが、何より大切な自信を得た。和田監督も「本当はアンちゃんに勝ちをつけたかった。勝ちはつかなかったけどナイスピッチ。(全盛期の)当時の状態に戻っている。頼りにしている」と言う。ベテランの闘志がほとばしった夜だった。【酒井俊作】
▼安藤の9イニング無失点は、プロ唯一の完封勝利06年9月3日横浜戦(横浜)以来。9イニング投げたのは、09年5月14日広島戦(甲子園)で完投勝ちして以来。また10奪三振は、08年4月11日横浜戦(横浜)と並び自身最多。



