<中日1-0DeNA>◇30日◇ナゴヤドーム

 すごすぎる46歳がまた、球団史を書きかえた。球界最年長の中日山本昌投手(46)が7回2安打無失点で今季2勝目となる通算212勝目を挙げた。フォークの神様、杉下茂氏の211勝を抜き、中日の最多勝利。防御率はリーグ1位の0・55と驚きの安定感だ。

 試合終了と同時にベンチからチームメートに押し出された。本拠地で万雷の拍手を浴びて目にはうっすら涙。吉見から花束を受け取り、観衆の声援に応えた。

 「これまで後ろの投手にプレッシャーをかけていたのでこれですんなりいけるかな。粘り合い、と思っていたので完投するくらいの気持ちでいた」

 昨年は右足首の故障で登板ゼロに終わり、球団首脳に“進退伺”を出した。返ってきた答えが「杉下さんの記録を抜いてほしい」だった。立ち上がりから持ち味の緩急を使った投球で、7イニング中、5イニングが3者凡退。三塁を踏ませなかった。

 今春の沖縄北谷キャンプでも杉下氏から「今年抜きますって言って何年たつんだ。5年はたってる」とハッパをかけられた。この日もロッカー室に戻ってすぐさま電話をかけた。「キャンプで隣に立って指導してくれたんで。少しでも恩返しできたかな。でも杉下さんは10年足らずの記録。僕なんかはその3倍くらいかかってる」。歴史の1ページを開いてすぐに「次?

 工藤さんですかね」と工藤公康氏(48=日刊スポーツ評論家)の記録を標的に挙げた。47歳3カ月での登板に、通算224勝…。竜の鉄腕は衰えを知らない。【桝井聡】

 ▼山本昌が通算212勝目を挙げ、杉下茂が持っていたチーム最多勝利記録を更新した。山本昌の今季2勝はともに先発勝利。46歳以上では浜崎真二が通算4勝、工藤公康が通算2勝しているが、浜崎は4勝のうち3勝がリリーフ、工藤は2勝ともリリーフで記録。46歳を過ぎてから先発で2勝したのは、プロ野球史上初めてだ。