<巨人0-0阪神>◇4月30日◇東京ドーム

 阪神ランディ・メッセンジャー投手(30)が圧巻の投球だ。巨人沢村との投手戦で1歩も譲らず、7回1死満塁のピンチも無失点。延長11回引き分けで3勝目は逃したけど、7回3安打無失点と、勝ちに匹敵する貢献度だ。昨年も頼りになったけど、今年はもっと頼りになる。6日の次回登板も相手は巨人。もう一丁、頼んまっせ!

 198センチの長身助っ人が弁慶のごとく、巨人打線の前に仁王立ちした。メッセンジャーは崩れない。厳しい展開でも、耐え抜いた。正念場を迎えたのは7回だ。無死一塁の攻撃で、新井の右中間二塁打で一塁走者鳥谷が本塁憤死。その後も決定打が出ず、先制点を奪えなかった。その裏のマウンドで落胆を押し殺した。

 先頭阿部に四球を与え、送りバントや敬遠などで1死満塁になった。150キロ近い直球を生かしてカウントを整えながら、落ち着いて勝負。小笠原を捕飛に抑え、代打石井には初球の内角スライダーで左飛に片づけた。「ピンチを2つとも切り抜けられたからね。逃げてやられるより、攻めてやられる方がいい」。宿敵に傾きかけた流れを食い止める気迫だった。

 両チームともに無得点の展開で7回を119球の熱投。3安打7奪三振で無失点の好内容だ。4月17日ヤクルト戦(ほっともっと神戸)で来日初完封勝利を挙げてから勢いに乗る。8回1失点だった同24日広島戦(甲子園)に続いて、今回も安定感たっぷり。「(直球が)球威だけじゃなく、制球も良くなっている。自分のなかでも手応えはあるよ!」と、好調の秘訣(ひけつ)を明かした。最近数試合は緩いカーブを多投したが、この日は直球系が中心。裏をかいて的を絞らせず、剛速球を前に打たせないパワーを生かした。

 来日3年目のシーズンに入り、日本文化に溶け込む姿勢も好調を支える。DeNA戦のため横浜入りした4月20日。昼に横浜市内の宿舎に到着すると、すぐに私服に着替えた。1人で向かった先は徒歩圏内にある横浜家系ラーメンの人気店「吉村家」だ。20人以上が並ぶ行列もいとわない。食券を買うと、サラリーマンや学生に交じって、大きな体を丸めて店前の椅子に座って待った。「あそこはおいしいんだ。明日も行きたいくらいさ」。大好物を平らげ、リラックスした。

 オンとオフを鮮やかに切り替える。この日、もっとも厳しい局面は初回に訪れた。まだリズムをつかめない立ち上がり。1死二、三塁の危機で阿部をスライダー、村田を外角高め直球で連続空振り三振。パワーアームの本領を発揮した。援護に恵まれず、2戦連続で白星と無縁だった。それでも言う。「必ず攻撃陣がいつか点を取ってくれる。そう願って投げるだけさ」。勝てなくても、沢村と渡り合ったナイスガイの存在感が際立った。【酒井俊作】