阪神金本知憲外野手(44)が4日、楽天戦(Kスタ宮城)のため札幌から空路で仙台入りした。余韻に浸っている様子はまるでなかった。新千歳空港にスーツ姿で現れた金本は、引き締まった表情で飛行機に乗り込んだ。前夜、史上9人目となる通算1500打点を達成したが、過去よりも前を見据えた。そう、今日5日からは特別な思いを抱く街・仙台での楽天戦だ。

 昨年3月11日、東日本大震災。未曽有の大災害は第2の故郷を変わり果てた姿にした。野球界にも影響は及び、パ・リーグが開幕を延期。ただ、セ・リーグは通常開幕を探っていた。そこで金本が動いた。マスコミに声明を発表した。

 「今、被災者のことを考えると、野球どころじゃない。批判されるかもしれないけど、僕個人としてはそういう気持ち-」

 結局、選手会が主張した開幕延期案が通ったが、一連の流れで金本の発言は重みがあった。

 第2の故郷・仙台での相性は抜群だ。広島時代も合わせて通算21試合で、打率3割1分3厘、8本塁打、27打点。交流戦が始まった05年からは7年間で6発を誇る。第2戦では復活したマー君こと田中が先発だが、相手にとって不足なし。杜(もり)の都はアニキの舞台だ。【鈴木忠平】