<中日3-2楽天>◇8日◇ナゴヤドーム

 中日和田一浩内野手(39)が、プロ16年目で初となる逆転サヨナラ弾を放ち、連敗を4で止めた。1点ビハインドの9回1死二塁、楽天守護神の青山から左中間へ4号2ラン。5連敗寸前の劇的弾でチームを救った。巨人が敗れたため、2日で首位奪回。高木監督も頼れる新3番に最敬礼だ。

 和田は谷繁にヘルメットを取られ、小田に氷水をぶっかけられた。「あの氷水だけはかかりたくなかったけど…。でもこんな時しかない。うれしい」。劇的4号2ランで連敗を4で止めて、シビれ切っていた。

 サヨナラ弾は4本目で青山からは09年以来。だが逆転の冠つきは16年目で初の快感だ。1点ビハインドの9回1死二塁。8回まで2安打に抑えられ、あと2死で5連敗という土壇場だった。「ボール球でしょうね。でも僕にはストライクゾーン。チャンスボールが来たら逃したくなかった」。3-1から真ん中高めに浮いたスライダー。見逃せばボールで四球だったが、漫画ドカベンの岩鬼のごとく悪球打ちで決めた。

 「中軸が打てなくて、負けると責任は大きい。負けが込むと余計に『打ちたい、打ちたい』になる」。そういう重圧の中で戦っていた。4連敗中、和田は17打席3安打1打点。そしてこの日も6回まで3打席無安打と、主軸の責任を感じていた。執念の一撃だった。

 高木監督は「和田はボールに食らいついていく。彼が頼りですよ」。この日は5番に井端を入れるなど、10試合連続で変更した27通り目のオーダーで臨んだ。試合前から「こらえ性がないとか気が短いという人もいるけど(ロッテ)バレンタイン監督だって、日替わりオーダーで優勝したじゃん」と意気込んでいた。試合後、他球場の経過がテレビに出るとニヤリ。「巨人負けとるやない。ということは…」。そうです。わずか2日で首位奪回です。【松井清員】

 ▼39歳11カ月の和田が10年5月8日ヤクルト戦以来、4本目のサヨナラ本塁打。サヨナラ本塁打の最年長記録は56年4月19日岩本(東映)の44歳1カ月で、セ・リーグでは09年5月12日金本(阪神)の41歳1カ月に次ぐ年長記録だが、和田はスコア1-2からの逆転弾。逆転サヨナラ本塁打としては90年9月9日門田(オリックス)の42歳6カ月に次いでプロ野球2番目、セ・リーグでは56年6月24日藤村富(阪神)の39歳10カ月を抜いて最年長逆転サヨナラ弾となった。