<阪神1-2DeNA>◇22日◇甲子園

 キヨシ、聖地「初勝利」!

 セ、パのリーグ戦が再開された22日、DeNAは阪神を接戦で破り、中畑清監督(58)が監督として甲子園で1勝目を挙げた。高校時代は縁がなかったが、現役時代にプロ初ヒットを放った思い出の地。虎ファンから「キヨシ、お前が投げろ!」という温かい声援?

 も受けながら、5投手の継投をズバリと決め、筒香の逆転打を守って逃げ切った。アントニオ猪木も登場した甲子園で、ゼッコーチョー男が主役になった。

 監督として初見参となった聖地で会心の逆転逃げ切り勝ち。中畑監督の笑顔も満開だった。「甲子園は野球人にとって聖地だから。ここでの第1歩を踏み出す試合で逆転。ワンチャンスで若い筒香が打ってくれて、そのまま守りきった。強いチームの勝ち方になってるのかな」と笑った。

 重苦しいムードをつないで、つないで振り払った。1点ビハインドの6回。2死二塁からラミレスが今季3個目の四球を選んで一、二塁。続く筒香の右翼線への三塁打で2点を奪い、試合をひっくり返した。ラミレスの全力疾走での生還には、中畑監督も絶賛。「ラミちゃん見た?

 あんなに走れないよ。貴重な2点目を足でたたき出してくれたよ」。そして何より喜んだのは、7回から無失点リレーを見せた、篠原-加賀-藤江-山口の継投。今や勝利の方程式となっている心強い中継ぎ陣に「継投、大したもんだね。バンザ~イ!」。喜び爆発のキヨシ節だった。

 思い出深い敵地は、試合前からテンションを高くした。この日の試合途中に、アントニオ猪木が登場することを報道陣から聞くと、「3、2、1、ダアーッて言ったら怒られるな。前に間違えたことがあってさ。逆だもんな。でも俺、監督だよ」。前日の豪雨から打って変わっての青空を見上げては、「どうせやるならこの雰囲気がいい。いい試合になるぞ!」と絶口調。その“予言”通りの展開で勝利を手にした。

 巨人入団2年目に、プロ初安打を放ったのが甲子園だった。「ひそかに土を持ち帰ったんだよ。スパイクケースに入れて。聖地だからね、ここは」。高校時代は無縁だった球場。だからこそ、現役時代も、そして監督としても、特別な場所だった。

 7回に投手交代を告げた時、スタンドから「キヨシ、お前が投げろ!」と激励?

 されると、「こうか~」という感じで右腕を振った。ノリノリで聖地での監督初勝利をもぎとり、その勢いで、狙いを初のカード3連勝に定めた。「3連勝やられるチームだけど、やれるチームになりたい。(カードの)頭をとれたんだから、明日だよ」。笑顔から一変、勝負師の顔に戻った中畑監督。その言葉には、強い決意が満ちていた。【佐竹実】