球宴を終えると“栗山先生”の添削が待っている。日本ハム栗山英樹監督(51)が2日、大阪への移動前に東京駅で取材に応じ、オールスター出場を決めた若手の斎藤佑樹投手(24)中田翔内野手(23)らに、球宴で学んだことをリポートにして報告させる考えがあることを明かした。せっかくの出場機会をお祭りにするのではなく、後半戦や今後の野球人生に生かしてほしいという気持ちの表れといえる。

 昨年まで大学の教壇に立っていた栗山監督の目が光った。ファン投票で球宴出場を決めている斎藤、中田に加え、この日は監督推薦で吉川の選出も発表された。「周りに(お手本となる先輩が)いっぱいいる。何を得てくるのか、宿題にしたい。報告書を書かせるよ。まぁ、書かせることまではしないかもしれないけど、終わったら教えてもらうから」。球宴で何を学んだのか、チームに戻った後でリポートさせるつもりだ。

 若手選手の野球人生にとって、大事な機会だということを認識してほしいからこそ宿題を課す。自らもスポーツキャスターとして、数多くの選手に話を聞き、それが今でも財産になっている。「今オレがナカジ(西武中島)、あのバッティングだけどさ…って話になんていけないでしょ。チームが違うとそんな話できないけど、球宴はその制限が少し外れる部分はある」。他球団の選手とそろってベンチに座るのは唯一の機会。普段は聞けない技術論や精神論などを、質問できるチャンスなのだ。

 開幕投手を務めた斎藤も、ここ3試合は勝ち星なしで5勝6敗と負けが先行。全試合で4番を務める中田も打率2割1分と低迷し、7勝を挙げている吉川だって、昨季までは通算わずか6勝の投手。栗山監督は「テーマを持って行きなさいということ。土下座してもいいから、ものにしてきてほしい」と貪欲に吸収する姿勢を求めた。

 選ばれた選手しか出場できない夢の舞台。若手にとっては、貴重な課外授業の場となる。【本間翼】