<阪神1-0中日>◇10日◇甲子園
頑張っていれば、いいことがある。ひたむきな虎の4番に女神がやっとほほえんだ。3回2死一、三塁、どん詰まりの打球が右前に落ち、終わってみればこれが決勝の1点になった。自身の打撃は好調ながら白星が遠かった苦悩からもオサラバ。泥臭く、ガムシャラな新井が勝利の中心に居続ける。
ありったけの力がこもっていた。初球は高め145キロ直球を強振できずに空振り。4番新井貴浩内野手(35)はやはりフルスイングが似合う。両チーム無得点で迎えた3回2死一、三塁。1ストライクからの2球目。難敵吉見の内角ギリギリをえぐる145キロシュートを、オープンスタンスから押し返した。詰まった。詰まったが、全身の力が伝わった打球は右翼線に落ちた。先制、そして決勝打となる右翼線二塁打。「これぞ主砲」の一打で苦境の虎をすくった。
新井
勝って良かった。(4番として)何とかしようと思ってやっているから。
チームは6連敗中。2週間の遠征ロードを1勝10敗とたたきのめされ、本拠地甲子園に戻ってきた。遠征中11試合、新井は46打数17安打、打率3割7分。弟良太とともに好調をキープしているが、同時に勝ち星につながらないもどかしさもあったはずだ。9日は遠征ロード明けにもかかわらず、弟とともに甲子園で休日返上練習。人事を尽くし、天命を待った。
ナイターゲームの日、気持ちを徐々に高めていく朝は起きたらまずBSテレビをつけると言う。「メジャーリーグを見てる。やっぱり日本から挑戦した選手は気になるし、応援もしてるから。特に黒田さんはね。黒田さんなんかは、いちファンとしてテレビで見てるな」。広島時代から親交の深いヤンキース黒田は新天地でも活躍中。お世話になった先輩だけでなく、日本人メジャーリーガーの一挙手一投足から刺激を受け、勝負の舞台に立っている。
中日には引き分けをはさんで7連敗中。球界屈指の好投手が相手マウンドに立った。予想通りの苦戦を強いられた一戦、4番が気持ちのこもった一打で熱いムードを作り上げ、10日ぶりの勝利に導いた。
新井
明日につなげたい。今日の勝ちをね。
しびれるような快感を久々に味わい、それでも表情を緩めることなく言葉をつないだ。まだまだ、これから-。表情からは熱い思いが見て取れた。【佐井陽介】



