<中日3-1巨人>◇15日◇ナゴヤドーム
ナゴヤドームのお立ち台で大きな背中が震えていた。4番タケシでG倒だ。10年ぶりに古巣に復帰した中日山崎武司内野手(43)が3カ月ぶりの4番を務め、決勝打。復帰後初となるお立ち台では「これだけのお客さんの前で立てて幸せ」と大興奮だった。前日14日には復帰弾を放った大ベテランが乗ってきた。
43歳が舞い上がった。古巣復帰以後、ナゴヤドームで初のお立ち台に立った山崎の声は上ずっていた。
「仙台は2万人で満員ですけど、ここは4万人ですから。たくさんのお客さんの前で立てて幸せです」
前日14日は復帰弾を放ちながら逆転負け。お立ち台を逃したベテランは、シーズン最多となる3万8381人の観客の前で興奮を隠しきれなかった。
試合前に4月24日ヤクルト戦(神宮)以来の4番スタメンを告げられた。「僕もビックリ。最初は間違ってるのかと思った。最高のポジションで打たしてもらえることはうれしいこと」。ベンチ裏の通路ですれ違った高木監督からは「頑張れよ」とささやかれ、やる気スイッチが入った。
見せ場は試合中盤にやってきた。1-1の5回2死一、二塁。20歳右腕宮国の動きを見抜いた。「投げた瞬間に(腕を)担いだからこりゃ、カーブやと思った」。腕を伸ばしてつかまえたボールが左翼線に転がった。走者2人が生還して一気に逆転。前日14日に復帰弾を放った男が決勝打を放った。1回にも先制点につながる右前打を放ちこの日は2安打2打点。4番の仕事をやり遂げた。
苦悩し続けた43歳の頭に浮かんだのは、楽天時代の野村監督の言葉だ。野球のことは野球で解決するしかない-。オープン戦で両リーグ最多4本塁打を放ちながら、開幕から不調が続いた。「考えるのが、これほどつらいとはね。なんか気晴らしはないかと思うけど、やっぱり野球のことは野球でしか解決しない」。何度もビデオを見返し、先週の阪神戦で右足に「ため」をつくる感覚を思い出した。
この日、巨人は村田と高橋由をベンチに温存。さらにセットアッパー山口をベンチから外した。前日は阿部もベンチスタート。一方、中日は40歳和田、43歳山崎、41歳谷繁とプロ野球史上初の40代クリーンアップで挑んだ。その真ん中に背番号7がいた。
それでも反省を忘れなかった。「もうちょっとチャラけたろうと思ったけど、4万人にのまれた(笑い)。アドリブでいかんかったのが不本意」。お立ち台での笑いが取れなかったことだけが悔しそう。ならば、もう1度-。いや、何度でもお立ち台でタケシ節を聞きたい。【桝井聡】



