<阪神9-2DeNA>◇29日◇甲子園

 ドドドドーン。夏だ、花火だ、猛虎祭りだ。7月に入って本塁打1本と湿っていた阪神打線が、今季初の4発乱れ打ち。4回の新井良太内野手(28)、7回の新井貴浩内野手(35)ら、ど派手なアーチ攻勢で連敗を7で止め、待ちに待った後半戦初勝利を挙げた。セ・リーグを、もっともっと熱くしてくれ~。

 新井兄弟が甲子園にでっかい花火を打ち上げた。4回に弟良太が中堅左へ、7回に兄貴浩が左翼席へ、ともにアーチを架けた。連敗脱出に導く兄弟弾。日曜日の甲子園に詰めかけたチビッコたちも大喜びだ。

 まずは良太だ。1点ビハインドの4回。鳥谷の2ランで逆転し、なおも2死二、三塁。DeNA先発三浦の外角130キロフォークをたたいた。「最近打ててなく、エラーもあり、最悪だった。まぐれですが、なんとか打てて良かったです」。17日の巨人戦以来の1発。一塁ベースを全力で駆け抜け、右拳を突き上げた。

 兄貴浩も続いた。4点リードの7回2死一塁。真ん中低めスライダーを左翼席に突き刺した。5月5日の巨人戦以来、229打席ぶりの1発。兄弟そろっての5号は81年のリー、レオン(ロッテ)以来31年ぶり、セ・リーグでは初の兄弟アベック弾となった。10年オフにトレードで移籍した良太が入団会見で描いた夢が実現。貴浩が「それも良かったね。でも勝ったことが一番良かった」と喜べば、良太も「良かったんじゃないかな。俺にまだ余裕がないから。両親とかはうれしいんじゃないかな。また打てるように頑張ります」と呼応した。

 今季初の1試合4発。一発攻勢で連敗を止めて、15日ぶりに聖地に六甲おろしが鳴り響いた。良太は「活躍で(連敗を)止めたとかじゃなくて、結果、勝てたので良かった。できる限りの準備をして火曜日に臨みたい」。最下位DeNAとのゲーム差は再び5に開いた。後ろはもう振り返らない。新井兄弟の底力も、阪神の底力も、こんなもんじゃない。【岡本亜貴子】

 ▼新井良が4回、新井貴が7回に本塁打。同一球団の兄弟がそろって本塁打を打ったのは、81年8月29日にロッテのリー、レオンの兄弟が近鉄戦で記録して以来、31年ぶり。他には50年7月27日に近鉄の加藤春雄、政一兄弟が東急戦で記録しているだけで、アベック本塁打をマークした兄弟は史上3組目。日本人の兄弟選手では62年ぶりで、セ・リーグでは新井兄弟が初めてだ。リー兄弟は78~82年の5年間一緒にロッテでプレーし、通算28度のアベック本塁打(82年はなし)を記録している。