<広島2-4ヤクルト>◇14日◇マツダスタジアム

 広島梵英心内野手(31)が、ヤクルトに意地の1発を見舞った。1-3の6回先頭で、代わったばかりの増渕の直球を左翼スタンドに運ぶ8号ソロ。3回2死の守りで逆転のきっかけを与える失策を犯したが、打席で奮起。今季5度目の猛打賞もマーク。クライマックスシリーズ(CS)進出争いを繰り広げる相手に存在感を示した。

 沈んでいたスタンドが沸き返った。1-3の6回先頭の梵は、代わったばかりの増渕が2ボールとなったところで、狙いを直球に絞り込んだ。ストライクを取りに来た145キロをジャストミート。滞空時間の長い打球は、左翼スタンド2階席に飛び込んだ。

 「打った瞬間、いったとわかった」

 会心の一発は1点差に追い上げる8号ソロ。1打席目には右翼線へ二塁打、2打席目には左前打を放っており、今季5度目の猛打賞もマークした。

 バットで返すしかなかった。3回の守備で痛恨のミスを犯した。2死走者なしで、飯原の平凡なゴロが捕球直前にイレギュラー。今季15個目の失策がきっかけとなり、そこから前田健がミレッジに16号2ランを打たれるなど4連打され、3点を失った。責任を感じないはずがなかった。

 両膝に爆弾を抱えながら、プレーを続けている。昨年手術した左膝だけでなく、患部をかばっていた右膝にも疲労が蓄積している。俊敏さを求められる遊撃の負担は小さくない。精彩を欠く場面も見られるが、レギュラーとしての自覚が強い梵は「試合に出てる以上、責任を持ってやるのは当たり前。結果にこだわっていく」と妥協しない。

 堂林、菊池と若手が内野のスタメンに名を連ねる中で、精神的支柱ともなっている。ベテランの域にさしかかった背番号6は、初のCS進出に向けてファイティングポーズをとり続ける。【鎌田真一郎】