<ロッテ1-10ソフトバンク>◇24日◇QVCマリン

 ロッテが記録的な失速で勝率5割に戻ってしまった。エース成瀬善久投手(26)を先発に立てて必勝を期した一戦で、5回無失点と好投。だが、6回に不運なプレーや失策が重なって一挙に5失点(自責1)で降板した。初登板の新外国人レデズマは、1回2安打3失点と期待外れの内容に終わるなど計10失点。打線も7安打2併殺と元気なし。3位攻防戦で完敗し、ソフトバンクとのゲーム差は2・5と開いた。

 貯金がついに底をついた。福岡、札幌、仙台の長期ロードで3勝6敗。苦しみ抜いて、ようやく本拠地に帰ってきて仕切り直すはずの一戦だった。だが、Aクラスを争うタカ軍団に惨敗し、3連敗。6月10日までに築いた最大貯金15は、ついにゼロとなった。2カ月前まで首位を独走していたロッテにとって屈辱の大失速となった。

 5回まで惨劇は予想できない展開だった。エース成瀬が無失点と好投。だが6回の守備で流れが一変した。無死二塁。初球、本多がバントの構えを引くと二塁走者の高谷がアンツーカーを越えるほど大きく飛び出した。通常なら慌てて帰塁する。捕手里崎も「すぐに投げないと戻られる」と送球した。だが高谷はまさかの三盗を選択。けん制死でピンチ脱出から一転、無死三塁に危機が拡大した。

 成瀬は動揺したのか本多に適時打で先制点を献上。さらにホワイトセルの適時失策で落胆の色が濃くなり、小久保の適時打、多村の2ランで一気に5失点を許した。勝敗の大勢は、ここでほぼ決した。成瀬は「何とか最少失点で切り抜けないといけないのに、大量失点につなげてしまった」と踏ん張りきれなかった自分を責めた。

 年に何度もあるプレーではなく、ミスとは言えない。だがチームが大不振の時に遭遇し、流れが変わったのは事実だった。「ああいう時の決まり事が必要だった」(里崎)。試合後、バッテリーコーチ陣はVTRを検証し、今後の対策を練った。山中コーチは「里崎の判断どうこうではなく、三塁まで行かれたという事実を受け止めないといけない。明日対策を選手に伝える」と話した。

 今日の一戦で勝てなければ10カード連続勝ち越しなしが決定。今季は広島が12カード、オリックスが11カード連続を記録したが、これは1カード2戦の交流戦が含まれる。交流戦以外ではDeNAの7カード連続が最高で、ロッテの泥沼状態はこれを上回る。この流れを、どこかで断ち切らなければならない。【広重竜太郎】