日本野球機構(NPB)が、来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督として、ソフトバンク秋山幸二監督(50)に就任要請を行う方針を固めたことが23日、分かった。兼任の負担や3連覇が期待される重圧を考慮し、前回大会優勝監督の巨人原辰徳監督(54)を、サポート役として代表チームの要職に招くことも検討している。両監督との正式な交渉は今後行われるが、球界を代表する2人の現役監督による「最強タッグ」で、3大会連続の世界一を目指す可能性が浮上してきた。

 混迷を極めてきた代表監督問題に方向性が見えてきた。加藤良三コミッショナーをはじめとするNPBは、秋山監督に監督就任要請をする方針を固めた。さらに秋山監督をサポートすべく、前回優勝監督の原監督にアドバイザー的な役職への就任を要請する。コミッショナー顧問を務めるソフトバンク王貞治会長とともに、経験者が代表チーム入りすることで、現役監督が兼任する大きな負担を軽減し、3連覇を狙える体制を整える。

 当初は現役監督を候補から除外し、OBに絞って人選を進めてきた。だが、決定するに至らず選択の幅を広げた。王会長は、この日の朝にTBSテレビの「サンデーモーニング」に出演し「現役の人というところまで枠を広げましたから。前半はやはり現役でない人をという考えを持っていたが、現役の人も含めてという話になりましたから。そういうところをある程度考えていただければ、分かるんじゃないかと思うんですけど」などと語った

 秋山、原両監督への就任要請は今後行われるが、難航する可能性もある。秋山監督はかねて「現役監督は難しい」と難色を示している。しかもペナントレースは大詰めで、ソフトバンクも逆転優勝とCS進出へ向け、正念場を迎えている。NPB側は、ペナントの行方を見ながら、王会長を中心に説得することになる。

 「秋山-原」の2頭体制は、3連覇への切り札ともいえるアイデアになりそうだ。秋山監督は3月に行われた台湾との親善試合で侍ジャパンの指揮を執ったものの、勝負のかかるWBCは未経験。前回の優勝監督から受けるアドバイスは何ものにも変えられない。また、セ、パを代表する2人の指揮官が力を合わせることで、球界全体が一丸となって戦うムードも高まる。

 王会長はこの日の番組で「月が変わるまでに決めなきゃいかんと思うんです」と、今月中の決着を目指す考えに変わりがないことを強調した。残り1週間。混迷する代表監督問題が、最終局面を迎えている。