広島福井優也投手(24)を来季セットアッパーで起用する構想が23日、明らかになった。本来は先発投手だが、今季は中継ぎで登板した6試合で防御率2・89と、短いイニングへの適性を見せている。チームは今季、中継ぎ投手陣の疲労が失速につながった。来季3年目の和製150キロ右腕が、キーマンとなる。

 勝負の3年目は新たな仕事を任される。150キロを超える直球を操る福井に、セットアッパーとして白羽の矢が立った。1年目の昨季は8勝を挙げた右腕も、今季はここまで2勝止まり。だが、中継ぎに配置転換後、かつての力強さがよみがえりつつある。大野投手チーフコーチは、新たな可能性を見いだした。

 「体も強いし、短いイニングで強いボールを投げている。適性を見せているし、将来は先発に戻るかもしれないけど、投球の幅も広がると思う。サファテとミコライオがどうなるかは分からないし、今村と2人でそういう(リリーフ)ところをやってくれればと思っている」

 福井の2年目は苦しい1年となった。開幕ローテに入りながら、不振に陥り初の2軍落ちを経験。1軍では先発として10試合に登板したが、先発の仕事とされる6回を投げ切ったのは2試合だけ。好投を続けながら突如として制球を乱すなど、信頼をつかみきれなかった。

 だが、短いイニングの登板で輝きを取り戻しつつある。中継ぎとして6試合に登板し、防御率2・89と安定した投球を見せている。来季の先発候補は教育リーグに派遣される予定だが、福井は中継ぎとしてフル回転し、リリーフとして経験を積む方針となっている。

 チームにとっても、救援陣の充実は補強ポイントだ。昨季の守護神サファテは、交流戦期間から不振に陥り復調の兆しを見せられず。代役のミコライオも登板を回避する試合が相次ぎ、計算できない部分があった。そのあおりを受けた今村は登板過多となり、リリーフ陣の疲労が、終盤での失速の一因となった。

 外国人投手の去就は未定で、現状では今村が守護神の最有力候補。同じドラフト1位の福井がセットアッパーとして新たな勝利の方程式をつくり、投手王国のずぶとい骨格を築き上げる。