<DeNA4-3巨人>◇29日◇横浜

 巨人のFA移籍コンビに少し元気がない。DeNA戦で3試合ぶりにスタメン出場した村田修一内野手(31)は、この日も無安打。ノーヒットが27打席に伸びてしまった。先発した杉内俊哉投手(31)も6回4失点で4敗目を喫した。リーグ優勝の原動力となった投打の中心。2人の活躍なくして「実りの秋」はない。

 「村田復調」を印象づけるには、この上ない状況だった。1点を追う8回1死一、三塁で4度目の打席に入った。2球で追い込まれてしまった。ファウルでカットして粘った。だが結局、DeNA加賀のスライダーにバットは空を切った。無安打のトンネルが27打席に伸びてしまった。

 シーズン終盤にミニキャンプを敢行した。原監督からもらった「走って、体のキレを取り戻したらどうだ」との助言に素直だった。陸上部さながらの全力疾走、長尺バットでの素振り。早出特打に阿部のバットまで借りて…。本塁打王2度の実績を傍らに置き、ガムシャラだった。「信じて、やるしかない。続けていくことに意味がある。気持ちが折れないようにやっていきます」と気丈だった。

 雰囲気はある。この日は内外角の際どいコースをカットしていた。スタメン落ち直前の、お手上げ状態からは脱している。だからこそ早く1本打って、モヤモヤを振り払いたい。原監督は「ウチの枢軸の1人ですからね」と、年初から変わらぬフレーズで信頼を強調。「一生懸命、やるべきことをやっている。早くね。でも、すぐに『来る』と思いますよ」と浮上を待ち焦がれた。

 三塁守備は相変わらずの安定感で、小差が必至な短期決戦でも頼もしい。だがこの日の8回もそうだったように、4番阿部が敬遠で勝負を避けられるケースも増えそうだ。年間通してコンビを組んできた村田が、5番の筆頭候補であることに変わりはない。ファイナルステージの幕開けは10月17日。もがいて、巻き返す時間はまだある。【宮下敬至】